『浄土』 町田康 | from8810さんのブログ

『浄土』 町田康

 七つの短編から成る。
表面上は普通を装っていても裏側を覗けば、みな狂っている。人間の奇妙な本性を、露骨に、奥床しく表現した作品だ。
 「いやー、好きだね。そういう話を婦女子は」と言っていたい。すなわち、自分はオンナコドモではなく士大夫である。ますらおである。という顔をしたいのである。 「犬死」より

 歓喜を爆発させつつ前進しているとでも言うのかな、両の手を上に上げ、掌を太陽に向けて、天を仰いで首を左右に振りつつ、若干内股で、腿をそんなにはあげないでリズミカルに前進していく。 「どぶさらえ」より
 そんな狂った世界のなかで異質な俺、迫害されている俺というのは逆に言うと素晴らしいことをやっているということで、つまりやつらが認めないということが俺が凄い、俺が神に選ばれた人間だということの証拠ということですよ。 「あぱぱ踊り」より 
 温夫にとって他からそのように扱われるということはあり得ないことで、あり得ないことは存在せず、存在しないことはないから、自分はボンクラではない、というシステムが半ば自動的に作動する。 「自分の群像」より