神田沙也加さんのニュースはショックだった。

 

私は、彼女がギタリストのBillyと結成したTRUSTRICKというユニットのファンだったので。トラトリの活動休止が早かったのでそう長い時期ではなかったけど、自分の人生の中に「神田沙也加」はしっかり刻まれている。

 

私がトラトリを語るには、まず上杉昇からはじめないとダメなのだが ↓

イケメン正統派で売り出されていたけど、本人は相当な「変人」で、アイドル化されるのが嫌で、結局WANDSのギターと脱退して新ユニットを組むが、うまくいかず解散。その後、上杉さんはソロを経て「猫騙」というバンドを組む。この頃になると、太るわ、刺青いれるわ、スキンヘッドにするわ、でイケメンの面影ゼロ。「変人」飛び越えて「廃人」というレベルに至ってると言っても過言ではなかった。音楽的にも万人受けするものではなくなった。(けど、歌唱力半端ないし音楽性も好きだった)

 

その猫騙でギター弾いてたBillyが神田沙也加とユニット組むと言われたら興味持つのは当たり前。それがTRUSTRICKに興味を持ったきっかけ。

 

最初に聞いた曲が何かは覚えていない。ただ、思った以上にPOPでそれでいて独特な世界観があって引き込まれた。CDを買って全曲聞いてますます好きになった。

 

音楽も良かったけど、二人の関係性や沙也加さんの性格がものすごく良かったんだよ。沙也加さんが「内省的」っていうのは有名だったけど、PVやmaking で見る彼女ははっちゃけてた。

アニメが好きで、気取りがなくて、めっちゃ面白かった。「どこが内省的やねん?」って思った記憶がある。ちょうどアナ雪がブレイクした頃で人生の絶頂期でもあったのかな? とにかくエネルギーに溢れていていつも楽しそうだった。

 

トラトリを結成した頃、母親との確執はピークに達したのだと思う。そこから何年も絶縁状態のままだったはず。その分、父親や祖父母(母方の)との絆は強くて、すごく愛されていて、そしてとても愛していた。・・・だから、今、彼女の親族の気持ちを思うといたたまれなくなる。親族だけじゃない。Billyだって、元夫の村田さん、親友の黒崎真音、ママと慕われていた大地真央・・・本当に今日という日にどれだけの悲しみが存在しているのだろう。

 

松田聖子にとってはもっと辛いと思う。絶縁していた自分を呪うことになるだろう。
 

こんな深い悲しみがあることを想像すらできない人達がネタのように「死因」を語っている。

「自殺する理由がないから他〇」「順風満帆なのに自死はありえない」・・・

 

直前に父、神田正輝に前倒しの誕生祝いの電話をしているが。当日祝えるものを前倒しにする理由が彼女にはあったということだよね。そもそも、確たる証拠もないのに暗〇を決め付けるのはどうかと思う。阿保徹先生の急死に関しても決めつけている人は多いが(私も疑ってはいた)、これはうつみんが怒りを込めて完全否定していた。ご家族からも話を聞いている、と。ディープな陰謀論は「思考停止」でもあり「認知の歪み」でもある。

 

芸能人はゴシップネタにされても仕方ない面もあるが、ご親族の「静かにしておいてください」という声を尊重してほしいと願う。

 

話をトラトリに戻そう。

 

沙也加さんとBillyはとにかく仲が良かった。ボケと突っ込みって感じなんだけど、そこから良い感じの音楽が生まれてるという・・・「この二人結婚しないかな」といつも思ってた。でも、それが逆にトラトリの寿命を縮めたのかもしれない。

 

トラトリ無期限活動休止が発表されて、なんとなく察しがついたけど、音楽だけのパートナーとして続けてほしかった。Billyはその後もずっとTRUSTRICKのBillyと名乗ってたけど、沙也加さんは「ト」の字も出さなかったので、再開に期待するのはやめた。

 

あと、沙也加さんはメンタル強くないよ。詳細忘れたけど、ライブのチケット販売の手違いで応募した人からクレームが来るというトラブルがあったのだけど、その時の沙也加さんの「自責の念」が半端なかった。それをサクッと解決したのがBillyだった。「こんな神経細かくて芸能界に居るの大変だろうな」と思ったけど、Billyが居たら安心だ、とも思った。

 

内面は繊細な人だったんだよ。

 

みんなが言うような順風満帆な人生でもないと思う。ずっと「偉大な母親」という重荷を背負っている。初期の歌手活動は失敗して芸能界を辞めようとしていた。TRUSTRICKも失敗に終わった。その後の結婚生活も結局続かなかった。順風じゃない人生で頑張ってきたのが神田沙也加の生き方だったんじゃないか、と私は思う。

 

「君が行ってしまったセカイ」が安らぎに溢れるセカイでありますように。