会いたい人やありがとう。を伝えたい人は沢山いる。
今日は、私の好きな音楽の先生を思い出していた。
時間さえあれば音楽室にピアノを弾きに行くような生徒だった。
学校のどこよりも音楽室が好きで、何よりも音楽が好きだった。
当時の日記を読み返すと、音楽の授業があれば楽しみ!と綴り、音楽の授業が無くなると悲しい。と綴っていた。
音楽の授業は好きだったけど、それよりも音楽の先生に会えるのが嬉しかった。
私はとても緊張する性格で、先生とお話することは少なかった。今ではもっと色んなお話したかったな。と思うこともあるけど、少しお話できたり、会えた日はとても嬉しくてルンルンで廊下をスキップしていた。
私は音楽の先生が好きだったと、改めて実感する。
第1音楽室から流れる先生のピアノを聴いてばれない程度に口角を上げながら、第2音楽室にあるピアノの蓋を開けていた。
私もピアノを鳴らして、たまに耳をすませたり、とても好きな空間だった。
お昼休みが1番長くて、休み時間になると職員室まで急ぎ足で鍵を取りに行く。
職員室の壁をノックして、失礼します。
6年3組の〇〇です。音楽室の鍵を取りに来ました。
と、ほぼ言いながら入っていた。
そうして、鍵を手に取り 失礼しました。と言い放ち職員室から音楽室まで駆け上がります。
職員室は1階に、音楽室は3階にあるため、階段を素早く駆け上がらないとピアノを鳴らす時間が減ってしまう。
息を切らしながら音楽室の鍵を開けるのに手こずり、ようやく開いた扉から静かな音楽室に入る瞬間を今でも覚えている。
椅子に座ったら、息を整えて音を鳴らす。
音を鳴らせる喜びに胸が高鳴る。
鍵盤と一緒に沈み込むように音に包まれる。
ただ、大事なことが1つだけある。
常に時間を意識しないといけないのだ。
音楽室から私の教室までは同じ階であるため、予鈴が鳴ってからでも間に合う。しかし、私は1度1階まで下りて職員室に鍵を返してから3階まで上がって着席しなければならない。
それに、小学生という若さにもかかわらず階段は息が切れる。
いつもは時計を見て撤退するのだが、たまに時間を忘れて鳴り響く予鈴にドキドキした。
息切れを覚悟し授業には何とか間に合え!!という気持ちで上靴を履く。
こういう時に限って鍵が閉まらなくて焦る。
鍵を閉めたら、急いで階段を下りて鍵を返して、階段を駆け上がる。
降りる時よりも上る方がしんどいな。そう思いながら、教室を目指す。
廊下も階段も走っちゃダメだと頭によぎらせ、これはきっと早歩きだ。と言い聞かせる。
今でもあの頃を思うと心が弾む。
音を鳴らすのが楽しくてそれ以外何も考えていなかった。
今は、ピアノを前にすると私はどんな音が鳴らせるのだろう。見えない狭い箱の中にいるような感覚。
ここで音を鳴らさないといけないのだ。鳴らし続ければ、いつかここを抜け出せる時が来ると思っていた。
最近少しずつ思ったことがある。
この箱は私が作ったんじゃないか。って。
音楽室で音を鳴らす時は自由だった。ただ好きなように鳴らせた、それが楽しかった。
音楽を好きになる度、色んな音と出会う。
そして、音とともに色んな人にも出会う。
それはとても素敵なことなのに自分を見失うようだった。上手い、下手。良い、悪い。
誰かの言葉、誰かの意見、誰かの評価。
自分の生きる世界が広がって、私はここに居るのに他人の気持ちが溢れていて自分の気持ちに気づけていなかった。
あなたは色んな人と出会って、心動かしたらいい。
それが、好きでも嫌いでも憧れでも悔しさでも。
あなたが感じた気持ちはそのまま大切にするんだ。あなたの気持ちは誰かが決めるんじゃない。
大丈夫。あなたは自分の気持ちに気づけるよ。
あなたはあなたの鳴らしたい音を鳴らすのがいい。
音の楽しみ方は人の数だけあるんだ。
だから、音楽は自由なんだよ!
あなたが音楽を好きなら好きでいい。
あなたにしか鳴らせない音がある。
私はそう思う。
私はこれからもきっと音楽が好きです。
また一緒に音楽がしたいです。
先生に会いたいです。
いつか伝えられるといいな。