11/26にプッチーニ作曲・歌劇「ラ・ボエーム」を、12/5にレオンカヴァッロ作曲・歌劇「道化師」に出演しますが、両作品の作曲家お二人には少し因縁があるという逸話があります。
作曲家としてだけでなく、台本作家としても一定の成功を収めたレオンカヴァッロ。
「ラ・ボエーム」の台本を自分で書いて、一緒にオペラを作曲しようとプッチーニに持ちかけましたが、プッチーニが断わったので自分で作曲する事にしました。
一方誘いを断ったプッチーニは、台本作家ジャコーザとイッリカのコンビで書いた台本で「ラ・ボエーム」を作曲し、レオンカヴァッロの「ラ・ボエーム」より先に上演してしまったので、レオンカヴァッロはかなり憤慨して、二人の中はこれを機にひどく悪くなって口も聞かなくなったそうです。
そんな因縁あるお二人の作品を続けて歌える機会はなかなかないので、心して挑もうと思います。
ご都合宜しければ是非両公演セットで、因縁の共有をご一緒しましょう(笑)
歌劇「道化師」
1892年、R.レオンカヴァッロ作曲オペラ。
今や世界中で上演されている人気の高い演目です。
南イタリアの旅回り一座の団長カニオと、その妻ネッダの悲劇を描く作品で、原作については諸説あるものの、レオンカヴァッロはこの「道化師」を手にSonzogno社が主催する1幕物のオペラコンクールに応募しましたが、この作品は2幕物として認識されていた事もあって失格となってしまいました。
しかしSonzogno社の社長の目に留まって、トスカニーニの棒で初演し大成功。今ではP.マスカーニ作曲歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」と並んでヴェリズモオペラの代表作になったこの作品の物語はとても衝撃度が高いです。
若い妻・ネッダを自分のもとに縛りつけておきたいカニオ。
カニオはそれが妻への愛情表現だと信じていますが、どんなに脅して縛っても心までは縛れません。
カニオなりに色々と思いながらも、やはり彼には脅迫めいたことしか出来なく、ネッダの心は今や不倫相手のシルヴィオのところへ。
*「道化師」あらすじは → https://ameblo.jp/from-7/entry-12706585351.html
歪んだ愛憎で成り立っている夫婦の在り方。
夫婦の年齢差だけがその原因ではないと思いますし、親密さ(愛情)が支配(管理)を生んだ時に起きる悲劇なのかもしれません。
パリアッチ(Pagliacci)は、「ピエロ、道化師」という意味のパリアッチョ(Pagliaccio)の複数形。
劇中劇で出てくるパリアッチョ役と、それを演じるカニオ自身もまたパリアッチョ。
僕は二つの面で複数形「パリアッチ」という捉え方を選択しています。
歌劇「道化師」あらすじ
※パリアッチ(Pagliacci)は、パリアッチョ(Pagliaccio)の複数形。道化師の意。
1865~70年頃、南イタリアのカラブリア地方にあるモンタルトの村はずれ。
カニオ(Ten.) 旅芝居一座の座長
ネッダ(Sop.) カニオの妻、座員
トニオ(Br.) 一座の座員
シルヴィオ(Br.) 村の青年でネッダの愛人
ペッペ(Ten.)一座の座員
プロローグ
幕が上がる前に、旅芝居一座の座員トニオが道化師の姿で現れて「道化師とはいえ普通の人間。仮面の下には人間らしい血も肉もあり、悲しみや苦悩を感じるのは同じ。涙を流していることを忘れないで欲しい」と前口上を述べる。
第1幕
聖母被昇天祭日の8月15日。
村人達の歓声に迎えられてカニオ率いる旅芝居の一座が村にやって来る。
馬車に乗った座長のカニオが太鼓を叩いて「どうぞ今夜の芝居においで下さい!」と歌う。
カニオに続いて妻のネッダが馬車を降りようとすると、彼女に片思いをしている座員トニオが手を貸そうとしてカニオに殴られ、トニオは「覚えていろよ」と言って去る。
村人達がカニオ達を飲みに誘うが、トニオは一人残る。
村人たちは彼がネッダに気があるからだと言うと、カニオは血相を変えて、悪い冗談はよせと言いながらも飲みに出かけ、村人たちは教会の鐘の音に合わせて歌いながら帰る。
ネッダはひとり、空を飛ぶ鳥を見て「自分もあのように自由になりたい」と憧れ歌う。
そこにトニオが現れてネッダを口説くが、鞭で追い払われるので、仕返しをしてやると言って立ち去る。
トニオがいなくなった所へ、ネッダと不貞の仲である村の青年シルヴィオがやって来て、ネッダと濃厚で熱烈な愛の言葉を交わす。
その様子を盗み見したトニオはカニオに知らせに行く。
そうとも知らずに二人は「今夜からあなたのものよ」と駆け落ちの相談をしている。
戻ったカニオが怒って二人の前に飛び出すが、逃げ足の早いシルヴィオを捕まえ損ね、トニオは嘲笑する。
カニオは、今逃げた男は誰なのかネッダに詰め寄るが、座員ベッペが「舞台が始まる」となだめ止める。
カニオは芝居の衣裳を着けながら、涙を堪えて人を笑わせなければならない道化師の宿命を悲痛に嘆いて泣き崩れる。
第2幕(劇中劇)
観客の村人が待ちわびる中、遂に芝居の幕が上がり、ネッダ扮するコロンビーナが夫の留守を良いことに、ベッペ扮する恋人のアルレッキーノを待っていると、アルレッキーノの歌うセレナードが聴こえる。
トニオ扮する召使タデオが買い物から戻ってコロンビーナを口説くが、全く彼女に相手にされない。
そこに現れたアルレッキーノはタデオを追い出して、コロンビーナと夫婦気取りで食事を始める。
そこにカニオ扮する主人のパリアッチョが帰って来るとタデオが知らせに来たのでアルレッキーノは窓から逃げる。
コロンビーナはその後ろ姿に向かって「今夜からあなたのもの」と囁くので、出番を待ちながらパリアッチョ役のカニオは夕方の言葉を思い出して動揺する。
気を取り直したカニオはパリアッチョとして舞台に上がり、誰か家にいたかとコロンビーナに詰め寄る。
そんなやり取りをしてるうちに、だんだん芝居と現実の区別がつかなくなってきたカニオは半狂乱に「もう道化師じゃない!」と絶叫する。
観客は彼の真迫的な演技に拍手を送るが、パリアッチョとコロンビーナのあまりにも激しいやり取りに様子がおかしいと気づいてくる。
遂に逆上したカニオは「男の名を言え!」と言ってナイフでネッダを刺してしまう。
シルヴィオの名を呼んで死に絶えたネッダに向かって、客席からシルヴィオが駆け寄る。
カニオはシルヴィオに向かって「ああ。お前だったのか」と囁きながらナイフを突き刺し、騒然たる観客に向かって「道化芝居は終わった」と告げて幕となる。














