彼女は、少し元気がない。


彼女の口ずさむ歌は、密やかだ。


彼女は、青鈍の夕暮の中に立ち止まり、

道の果てを見つめる。


その道の先には、彼女の場所はないように

彼女には思える。



自分はどこへ行こうとしていたのか。

自分は何をしようとしていたのか。



彼女は、昏い空に手を差し出す。


そこに、暖かい手を求めて。


でも、そこには彼女が求めているものはなく、

彼女は、ひとつため息をついて、

コートのポケットに手を入れる。



消えゆく道しるべ。



今夜は、月もぼんやりとしている。




A Piece of Mars