日々の勉強 | 作家・シナリオライター西村悠のブログ

作家・シナリオライター西村悠のブログ

ラノベ作家・シナリオライター西村悠の近況報告とかです。

・前回ブログを更新したのはずいぶん前で、それまで本当に忙しく、色々なことがあったような気がします。とはいえやっていたのは、家のこと、子供のこと、仕事のこと。この3つで言葉にしてしまうとずいぶん簡単だなと思います。

 

・それぞれ、やるだけの価値と意味があることです。忙しくはありますが、そのぶんだけやりがいがあり、そういったもので満たされている日常というのはきっとずいぶん幸せなことなのだろうと思っています。

 

・仕事以外の書き物はすごく久しぶりで、なんだか勝手がつかめません。もっと頻繁に書ければいいのですが、色々なことに対応するのに忙しくて。でもきっとそれはよいことなのでしょう。とりとめもなく書いていきます。

 

・仕事や家でのことの合間に、色々と作品に触れています。それは小説だったり、映画だったり、ドラマだったり。動画配信サービスに加入してからは特に気軽に映像作品に触れることができていて、触れる作品の幅が広がったように思います。海外のドラマのシリーズは脚本がすごく勉強になります。3つとか4つの筋書を常に動かして、1話の中に、問題が解決する山場と、その最中に新たな山場のための準備をする。ずるずると引きずられるように、ついつい見続けてしまうようにできている。確立されたハウツーがそこにあるように思いました。まだわかりませんが、他の人気作品も数本見れば、法則性を明文化できるような気がしています。せっかくなので、自分の創作のプラスに繋げたいなと。

 

・小説では、前も書いたような気がしますが、恒川光太郎さんの短編集が幻想的なホラーで素晴らしかったです。文体から生じるあの雰囲気、ああいうのを才能というのだろうと思いました。ベストセラーの青春ミステリーもいくつか。これもすごく勉強になりました。青年期の繊細さと、どんな仕掛けをするかという、ある意味システマチックなところに重点が置かれがちなミステリとの結びつきというのは、かねてからもっと知りたいと思っていたことなので、イメージがより具体的になったことが嬉しかったです。具体的になったぶんだけ、道が遠くなったような気もしますが。距離が以前より少しはっきりしただけでも、前進かなと。

 

・今関わっている作品では非常に幅広いジャンルへの理解や、技術が求められます。ひとつひとつのストーリーごとに、本当に全くジャンルが違います。初めて踏み込むジャンルもあり、そのたびに、関連する作品を浴びるように見たり読んだりしています。そしてそのたびに、自分が今まで見てこなかったところに広がっている豊かな物語に驚き、自分の、これまでの見識の狭さに恥じ入ったりしています。ちょっとできるようになった気になって、ひょっとして自分はお話の作り手としてそれなりになったのではとうぬぼれては、また、自分の未熟さにがっかりして……という繰り返し。プロになってから、いえ、その前からずっと、その繰り返しです。できることしかできないし、それを少しずつ広げていくことしかできないという姿勢が、色々な感情の波を抑える役に立っている気がします。うぬぼれに対しても、自分の未熟さに対しても。

本当に、日々勉強ですね。

 

・話が前後してしまうのですが、作品に触れていく中で、印象深かったのは『夜と霧』という作品です。とても有名な作品ですが、恥ずかしながら、これまで読んだことがありませんでした。作者の実際の経験から書かれた書き物で、共に生きていく人々が、虐げられ、簡単に死んでいく、そんな凄惨な環境がそこに描かれていました。その中に、虐げられ、弱りきって明日の命さえわからない人々が、落ちていく日の美しさに感動するシーンがあり、夜、歌や芸を披露して、それになぐさめを覚えるシーンがありました。その描写がすごく、印象に残っています。

 

・なにかを楽しいとか、美しいとか思う、笑いとか、感動とか、そういったものごとが、明日生きるか死ぬかの厳しい状況にあっても、必要とされるということが事実であるなら、それはとても、なんというか、人間性に対する祝福であるような気がしますし、僕のような些末な作り手がいうのもなんなのですが、自分の関わっている職種に誇りを感じられるのです。人間が生きる糧となる何かを作り出せる、そういう職種に関われているのだという確信が持てるというか。

 

・色々書いたような気がしますので、これくらいに。また書きます。失礼いたします。