結局、当日まで宿題の言い訳を考えられなかった。
私にとって憂鬱な朝なのに、父はラジオ体操の歌を歌いながら、陽気に私たちを起こした。精一杯だったかもしれない。
食卓には、白いご飯と味噌汁があった。
朝ごはんが用意されていた。
今でも、あの日の朝ごはんを覚えている。
正直、ご飯は芯があって硬くて、味噌汁は塩辛くて飲めたものじゃなかった。父は「マズいな!美味しくないな!」と何度も何度言っていた。兄は、ムスッとして食べなかったが、私は子供ながらに気を遣い「そんなことない。食べれるよー」と言って完食した。
今思えば、気を遣ったんじゃなくて、怖かったのかもしれない。兄も私も食べなかったら、父が怒り出すんじゃないかと怯えていたのかもしれない。
いよいよ登校。
登校した日に、友達と何を話したか、どんな友達がいたのか、今は全く覚えていない。加えて言うなら、宿題の提出の言い訳もどうしたのか全く覚えていない。
ただ、鮮明に覚えているのは、部活動のS先生に呼び出された時のことだ。
夏休み初旬に親戚に預けられたままの私は、当然ながら、部活動に参加しているわけがない。その理由は考えていなかった。
S先生「何で部活動に来なかった!」
私「…すみません」
S先生「サボったんだなー!」
と、怒られ、思い切りビンタされた。
私は、1メートルくらい横に飛んで、倒れた。そして泣いた。何度か謝った。
S先生「明日から休まずにちゃんと来い!わかったな!」
このシーンだけ、鮮明に覚えている。
その後、先生がどうしたのか、私がどうしたのか、全く覚えていない。
この時の感情もはっきり覚えていて、お母さんいなくなったんだから仕方ないじゃん!とか思うことは全くなく、部活動サボってしまったから、怒られて当然だよねって思った。あの頃は我ながら、笑えるほど素直だったんだなぁ。
こうして、始業式の1日が終わった。