つい数日前、私が勤める会社の近くに不思議な建物があることに気がついた。
近くには都立公園がある。四十雀、百舌鳥、尾長、翡翠等々の野鳥も訪れ、耳福眼福をもたらしてくれる。盛夏にもなると、東京の中にありながらも鬱蒼と茂った緑が目に沁みる。
もう彼此4年以上も通っている道だが、路地の奥まったところにあったため朝晩の気忙しい通勤途中では全く意識にとめなかったらしい。


一見、古ぼけた写真館と言う出で立ちの建物だった。木製の小さな看板には、擦れた墨文字で『深海魚水族館』と、書いてあった。
気がついてからの数日間、通り掛かるたびにそれとなく覗いても、扉は固く閉じられたままだった。
さして深海魚に興味があるわけではないのだが、こんな街中でどんな顔して泳いでいるるのかと不思議に興味を覚える。
開館時間も公開日時も、看板には書かれていない。私設の、好事家だけが立ち寄る水族館なのだろうか。


今日も気になって深海魚水族館の看板の前に立っていると、見知らぬ男の子に声を掛けられた。
「ここの水族館は、新月の日の深夜にしか開館しませんよ」

そう言うと、軽く会釈をしてひっそりと扉を開け、中へ消えてゆく。追いかけて行くべきか行かぬべきか少しだけ悩みながら立ちつくし、男の子の言葉を胸の中で反復する。
なるほど。海の底近く、暗い静かな場所に生きる深海魚を地上で見るには、なるべく深海に近い静けさと暗さがなければならないんだな。不思議と納得した。


さて、次の新月はいつだろうか。



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ポニョのことを考えながらPCの中身を整理していたら昔のメモが見つかったので、ちょっとだけ加筆してブログのネタにしてみたw

うん、嘘だよ。でも、そんな水族館、ホントにあったらいいなぁ。静かで、暗くて、エアポンプの音しかしなくて、ちょっと怖くて、ちょっと安心して、そのまま帰らなくなりそうだけど。

本物の水族館(サンシャイン水族館)は、ケロちゃん(仮名)の体調が良く、天気が良かったら今週のお休みに行くつもりです♪