雨の森で漫画の話:Power Of Expression | 自家熱帯変態雨林

自家熱帯変態雨林

両生類飼育と植物の彼是。
かえる。カエル。蛙。
葉っぱの上。

林静一「赤色エレジー」

久しぶりに読み返したので、書いてみようかと思います。
なんとおこがましい話ですが。主観なので
「読んで頂戴ありがとう」。


一郎と幸子

アパートの狭い部屋に溢れる

時計の針に追い付けなかった

二人の至情


何度読んでみても、凄い。
表現力。
もし単にストーリーがどうだとか、時代がどうだとかいう受け止め方しか出来なかったなら、どうぞ、営利主義と流行りに浸かったズリネタ的でスッカスカな漫画でも読んでお過ごし下さい。と、暴言を吐いてしまいたくなる程、この表現力に感嘆。

セリフの無いコマにさえも、感情の沸き立つ"セリフ"が確かに在る。それは次のコマから次のコマへと繋がってゆく。そんな事がここでは至極当然に起こっている。
読んでいる自分とその"セリフ"は合わせ鏡の様で、「一郎はこう思ったのか」「幸子はこう考えたのか」という感情が、リアルにページに映る。
前半の表現主義的な画を含め、終わりまで一つ一つのコマがまるで感情をほじくり出す"デザイン"であり、白と黒の二色の関係は、正に表現の力。
そしてそれらは時間(物語)として流れている。



今の時代に居て、この作品が最近出来たものではなく、もう40年も前のものであるという事に、何だか感慨が深い。
全く、何だろう。

結局男と女はいつの時代も変わらないのだと言うのなら、一郎と幸子は今の時代にも生きている事になる。
この「赤色エレジー」のページをめくれば。


と、あーだこーだ主観的に長々書いてみましたが、つまりは一言で表すと………








『ああッ!』


です。


おわり



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(文庫版)



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