プリン エピソードⅡ
そんな遠くない昔…近くにありがちなそこらへんのコンビニで…
「プリンの逆襲」
僕がプリンの封を開け、それを丸飲みした事がきっかけでした。それが仕事仲間からあり得ない食い方だと馬鹿ウケされ、同じ食い方を真似しようとみんながトライしていったのです。一人がやれば「おまえも!」といった具合にです。そこにはジャイアニズム(※1)が存在し経験者のいうべき事は絶対なのです。お気づきの通り、著しく偏差値の低い連中を集めてしまった結果での事です。ご容赦下さい。男三人がキャッキャキャッキャとプリンの食わせ合いをしていると、あることに三人は気付くのでした。…もう一人カモがいる、と。そう、そこには久石譲をこよなく愛す女が居たのです。男達の目の色が変化したのを敏感に察し、「絶対やらない!!」と激しくて抵抗する彼女。しかし、場の空気というのは恐ろしい。激しい抵抗も空しく、流されるがままに彼女はプリンを食う決意をするのでした。そして僕は人間誰しも一度は若い時には望む大役に決まりました。僕はプリンを彼女の上から口めがけて落としてあげる係、もちろん手づかみとかではなくカップからダイレクトに彼女の口に落ちるようにです。大変名誉な事です。もう、この辺で悲惨な結果を招く事は想像に容易いとは思うんですが、女の子もノリがいいのか、久石譲を聞いても頭は良くならないのか、着々とプリンを食う覚悟を固めていきます。そして、時は満ち、いよいよプリンが彼女の上でカップから巣立っていきます。「ありがとう、私の母なるカップ…」そんな思いをプリンから感じました。プリンがカップを放れ、重力に逆らうことなく、彼女の口に落ちていくのを僕等は見届けました。そして、……「ッカポン」……。沸き上がる歓声!!もう涙なしには語れません。そうです、無事に着地は成功したのです!!見事彼女の口の中に!!思えばアポロが月面着陸をし、無事に地球に帰還したあの感動を今、島国日本のほんの小さなコンビニでそれさながらの奇跡を起こしたのです。僕達男性陣はヒューストンクルーの様に固い握手を交わしました。一人は泣いていました。おまえの気持ちはわかるよ。しかし、三人が感動に浸っているその時、まだ上を向いたままの彼女に異変が…。「ウガガボッ」。どうした?地球後を忘れてしまったたかい?すると、彼女の口からプリンがいきなりエンジンに再噴射をかけたのか再度、宙へと待ったのです。「うわーーーー!!」歓声から悲鳴へ。そして驚く事なかれ、宙を舞ったプリンはもう一度彼女の口の中へ。男性陣悲劇の悲鳴から爆笑の悲鳴に。すると女の子本人も周りにつられて吹き出してしまいました。「うわーーーー!!」そう、プリンの反逆が始まりました。プリンが僕等に攻撃を始め、一人はプリンをもろにかかり痙攣を起こし、僕はそれを見て爆笑、腹を抱えて笑っていると、あまりに頭を振って笑っていたのか机にあった置物に頭を激突、笑いながら「いてぇー」と額に手を当ててみると手に血が…出血。それを見た他の店員爆笑。笑い事じゃねえと僕は笑いながら言い、傷口を確認するため髪をかき上げてみるとたらたらと流血。全員で更に爆笑。
食べ物は本当に粗末に扱ってはいけないと身をもって知ったのでした。同じ類のプリンは今も尚お店で売られています。皆様もプリンをお買い求めになる際は正しいマナーで召し上がって下さい。
※1ジャイアニズム…ジャイアン主義。「俺のものは俺のもの。お前のものは俺のもの」の名言で知られる剛田剛氏の展開するユニークな理論。何人も逆らう事は許されず、絶対の服従を求められる→
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