【挑!マイナス・トリロジー 最終回~傲慢編~{だって、男の子だもん!}】
「先輩!また、泳ぎ教えてください!こないだ先輩に教わったおかげで、ベストタイムが更新できたんです!」
と、後輩が飛びついてくる。
色白で、顔立ちは整っていて、目は大きく、クリクリしている。
動作のひとつひとつも本当にかわいらしい。
つまり、どれを取っても、直球ド真ん中ストライクの女性、というわけだ。
私は同輩よりも後輩と接している方が好きであるから、
この手の相談は女子であれ男子であれよく受けるし、
どんなに忙しくとも二つ返事で対応してしまう。
家族や友人からは
「そこが君の良い所であり、悪い所でもある。」とよく言われる。
自分のことだけに集中できないということか。
「まずは水中動作はこんなかんじで…」
私は理屈よりも先に手本を見せる。
「じゃあ…やってみようか!」
「ハイ!……どうですか?出来ていますか?」
「うーん…ちょっとだけ違うんだよな…
正しい動きはやってみないとなかなかわからないから…」
指導をする際は相手に正しい動きをさせるために
手を取って支えながらするのが最も効率が良い。
長年水泳をやっていれば、男女共に着ているものが少ないことをあまり気にしたりはしなくなる。
しかし
始めたばかりの後輩にとっては気になることのひとつであろう。
確認だけでもとっておこうか。
「ちょっと、腕借りてもいい?」
なんかこっちまで緊張しちまうな…
「一緒にやればすぐわかるから…」
と言って彼女の身体に手を伸ばすと…
「…はい。あの…先輩!わたし、先輩にだったら、どんなことされても…平気です!」
(違うってばーーーー!上目づかいでそんなこと言うんじゃないよ!…でも、嬉しいけどね!だって、男の子だもん!はぁ…大丈夫か、自分………ツー、カクン。)
夕暮れ時の
心地良い景色を背に。
ツー、カクン。
(完)