秋刀魚



去年の秋、やっと木が秋が来たことに気づき


色づき始めた頃。


朝、突然近所に住む後輩が何も言わず、ドアを開けた。


これ実家から送られてきたので、食べてください!!」 むっちゃ笑顔の後輩。


確信で、ビニール袋に の字になった青ぐろいモノを差し出す。


(なんかいっぱい折り重なってるやん・・・)


ん?・・・魚」 明らかに苦し紛れの俺の笑顔。


後の展開が自分でも何となく読めてくる_| ̄|○


はい!秋刀魚です!いっぱいきたので、どうぞ!


(いっぱいきすぎだろう・・・)


ざっと見ただけで、5,6匹。


こんなにはいいよ~食いきれないって。」 


いや、いっぱいきたので。どうぞどうぞ


憎らしいまでに純粋な笑顔を残し、彼は去っていった。


残された魚たちは、どう考えても霜がたまった冷凍庫に収まりきりそうにない。


「さばくのか・・・? え~~~~。 無理だよぉ~~~」


自問自答の日曜日。



小学校の時のフナの解剖で、魚の生臭さなのか、自分の下呂の臭いなのか


わからなかった記憶が思い出された。




刻々と解凍を始める秋刀魚の家族。


もちろん後輩をうらむ気持ちは全くない。


ただ、自分の胸の中は


「これどうすんの・・・?? 」


が漂っていた。


ハラを決め、頭から3等分。


血だらけのハラワタを引きずり出す。


憂鬱だった。怖かった。ほんとに。


なんで、こんなに怖いんだ??


こんな疑問がぐるぐる回る。



「命を感じてるからだ。」


こんな答えしか浮かばない。


そしたら、同時に女性の強さを思い知らされた。


女性は月1回、自分の体から血液がでるらしい。


そこには新しい命の源がある。


全く動かない、生があり死がある。


そんなリアルな生死を当たり前に受け入れることが


女性にはできる。


だから、女性は強いのか。強くて当たり前なんだ。


そんなことを思いながら、ハラワタをゴミ袋に詰め込む。


さばき終わり、真空パックに詰め込み冷凍庫に入れると


何故か秋刀魚が共に戦った同志のように感じた。


さばかれた秋刀魚にとってはいい迷惑だ。


今現在、同志はまだ冷凍庫に居座っている。