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心より感謝


■人は見た目・・・

「人は見た目じゃない」
と言う言葉をよく聞くが、現実には違うもの。

僕と兄貴。
ちょうど今頃の季節だった。
暑い、暑い夏の頃

急に思い立ち、本当に気の向くままに外出。
兄弟揃って、趣味は車だ。
(勿論、言えぬ趣味もあるがの ウハハハハ)

車を走らせ、数十分

僕らは、まず中古車屋へ突撃。
兄貴と同じ年式のコルベットを見にいく。
ざっと・・・600万
鉄、錆び、クーラー無し(死ぬ)、形は最高。
舐め回すだけ、舐め尽くし、
後ろ髪を引かれつつ、その店を離れる。
嗚呼、ナスビの様な美しい色と、曲線美・・・(泣

・・・まず、ここで少し何かが狂った。

続いて2件目。
今度は外車ディーラー。
それも所謂、スーパー・カー扱い店だ。

気の向くまま・・・
短パンに、ビーチサンダル、財布を手に鷲掴み。
誰が、僕らを店内に入れてくれるだろうか・・・

車を空き地に止め、
人口的に作られた側溝に落ちぬ様、
高さ何メートルあるのかと、思わず見上げてしまう程の
ガラスに感嘆の声をあげつつ、
僕らは、トランペットを欲しがる、黒人少年の様に
ガラスに両手をベタとつけ、
いつまでも・・・
いつまでも・・・
ガラスの向こうを見つめていた。

\22,000,000.- に・・・にせん・・・
600万⇒22,00万 いきなり、ハイジャンプである。

ガラスが、呼吸で曇る。
中は、ピッカピカのスーパー・カー。
赤、黄色、ライトでピカピカ光っている。

こっちは、
手垢と、鼻の脂でガラスが、ギットギトに光っている。

横を見れば、大通り。
近隣には、外車ディーラーが立ち並ぶ。
綺麗なショールーム街だ。

僕達はと言えば・・・、
財布鷲掴みに、ビーチサンダル・・・
犬と格闘したドロンコ後の短パン。
汚くて、ショボイGUYだ。

この対照的な構図も、目の前の金額で頭が
完全にバカになっている僕らにはどうでも良かった。

「兄ちゃん、もう行くか・・・」
「嗚呼、行くかっ」
素足を、蚊にさされボリボリと掻き毟りながら
その場を撤退。

中の店員からすれば、
シッシ!と言う感じだったのだろう。

さて、3件目♪
こちらも外車ときたもんだ。

もう言うまでも無く、この風体(笑)
店内に入る。
洒落たBGMが流れているではないか。

休みで、真夏だというのに、
スーツを着て<めかしこんだ>客が多いのに驚く。

「兄貴、あれじゃ お洒落泥棒だよなクヘヘヘ」
「ププププ」
こんな、低俗な笑いをしながら、店内中央へブラブラと。

さきほど、22,000万を見てしまった為か、僕らは
1,000万レベル、数百万程度の価格を見ても驚かない。
「めっちゃ安いな 激安セールですか的な~」
「買っちゃう~?笑」
「買ってくか~?笑」

本当に金銭感覚がバカになっていた。
と、こんなそんなで、30分以上が経過。

・・・何かがおかしいな・・・違和感だ。
・・・何だろう。
・・・んんんん
・・・!

他の客は、店員に導かれ応接へと案内され
冷茶なぞ出されている。
店員は品良く微笑み、ガツガツした販売トークは
していない。

僕らには・・・、
誰も接客に来ないのである。(こんちきしょー)
「兄貴、所詮 人間てもんは見た目なんだな」
「そゆこっと。人間なんてそんなもんだ覚えておけ」

と、手に財布を掴んだスネ毛むき出しの兄が・・・
同じく手に財布を掴んだ、
ビーチサンダル、短パン姿の妹に説く。

厄介払いしたくなったのだろうか、
一人の店員がチラチラ見ている。
「兄貴、こっち見てるぜよ」
「では、社会勉強だ。店員チェックと参ろう」

いかにも
と言った作り笑いと、さも買えないだろトークを
連発する態度に少しムカ。

「すみましぇん、試乗したいのでしゅがぁぁぁ」
わざと、アホなしゃべり方をする。

「は? し、試乗ですか? 
 しかし、今は時間的に車内温度高いですし・・・」
あからさまな嫌な顔。僕らが乗れば、汚れるとでも
言いたそうである。

「乗りたいのですじゃぁぁ。
 お客様が乗りたいと御願いしているのじゃ~」
「・・・は・・・はい、少々お待ちを」
高級スーツに身を包んだ店員が渋々用意に向かう。

車種はここでは伏せておこう。
某高級車に乗り込む、

あら・・・こ・・・これは・・・
そこいらの普通車の方が、視界も乗り心地も、
加速感においても・・・マシではないか。

「国産の普通車の方が乗り心地いいね・・」
「見かけ倒しの車だな。見栄張りが好んで買う車だな」
と僕ら。

「コホン 乗りなれていらっしゃらない方には・・・」
と店員が嫌味連発

試乗を早々に終らせる。
有り難うございましたの一言もなく、店外へと
自然に追い立てられる始末だ。笑

所詮、人は見た目なのだ。

帰路に着く。
ファーストフードの、ドライブ・スルーに入る。
「いらっしゃいませ☆」

何だか、いつも聞いているこの声が、
今日はとても有り難く聞こえた・・・笑