僕は毎日、夢を見る。
決して見たい訳では無い・・・僕が、僕自身に「見させられる」のだ。
登場するのは、何故か決まって同じメンバーである。

僕にとって夢とは、
無限に続く逃れようの無い悪夢なのだろうか。


■僕の前世なのか?(2009/2/14)

珍しく自分が主体である夢を見た。

ここは、中世のヨーロッパの何処かと思われる。
地平線まで見渡せる広大な土地。

耳を覆いたくなる様な断末魔の叫び声、そして血の臭い。

僕は戦場にいた。
身の丈は、約2mの大男だ。
かつては、銀色に輝いていた甲冑も、今では幾多の戦いを経て
戦場の記憶となった傷と、
何千もの乾いた血により、黒くくすんで一切の輝きも
今では失われている。

頭上に被るは、バケツを逆さまにした様な形のものだ。

どうやら僕は、この戦いにおいて所謂"武将"たる地位の様だ。

手に持つ武器は、大きな棘がついたハンマー。
騎馬から降り、何万・何千もの敵陣に、自ら突破口となり
その後を部下達が付いてくる。
空から見れば、まるで渡り鳥がV字体系を取っている様な感じだ。

僕は、左へ・・・右へと交差する様にハンマーを振り下ろす。

敵の一瞬のうめき声と、血飛沫。
甲冑が潰れていく鈍い音・・・
遠くから反響する戦いの声・音・音・音・・・感覚も感情も麻痺している。

僕は決して死ぬ事を許されぬ身だ。
我が君主の犬であるからだ。
君主の為に生き抜く事を誓った、この呪わしい人生が
今日もまた続く。
決して、僕には安堵は無い。

見上げると太陽も、土煙にくすみ
何日が経過したのか・・・何人を倒したのかさえも、もう分からない。
自分が誰なのかも・・・
それに一体、何の意味があると言うのか・・・
胸には<虚無>しか無い。今では・・・


僕の君主は、まだ比較的若い 王子と言ったところだろうか?
たなびく、金色の髪は戦乱の世にともる、月光の様だ。

傷一つ無き、まばゆいばかりの銀色の甲冑は
まさに芸術の域である。
頭には長い尾羽の飾りが揺れ、彼の肩からは暗褐色の赤い
ビロードの長いローブが、さらに美しさを際立たせていた。

本陣は、美しい白い布による天蓋と、
彼の両脇には 2人の衛兵が守っていた。

彼同様に戦いを知っているのか?
と聞きたくなる程に、その甲冑は彼同様にきらびやかなものだった。

手に持つ盾は地に届く長いもので、
剣を逆さまにした様な形で、縁取りは金の凝った細工。
地は明るいブルーに、大きなシルバーの十字(クロス)が
はめ込まれていた。

彼・・・
若き王子は、そう・・・高田だった。
いつも夢に進入してくる、高田だ。
時代は変わっても、伊達男・キザぶりは、相変わらずだった。

銀色の盆に、人の頭ほどある巨大なプリンを食べていた。
・・・僕はその頃、全身血に塗れ鬼と化していた。

どれくらい戦いが続いたのだろう

気が付くと甲高い音がし、
空には、王の鷹が舞っていた。 <<本陣へ戻れ>>の合図だ。

僕は、部下に一時 撤退命令を下し
重たい体を引きずり、遥かかなたの本陣にたどり着いた。

何があったんだ・・・?

我が君主が、何故この戦いのさなかに 我を呼び戻す?
心に不安がよぎった

血に染まる手が、白いテントの布を汚す
構うものか・・・

そして中に入った

「お疲れ~
 葱は、焼いた方が甘くなるから♪ 食べてみて♪」
・・・ね・・・ネギ?

彼は、ローブが焼けない様に気を配りながら
自ら巨大な金網に 長ネギをどっさりと・・・焼いていた。

王子よ・・・
・・・王子

我が君主よ・・・僕は 無性に怒りにも似た笑いが・・・

・・・・・ピピピヒピ(目覚ましアラーム)

・・・・・僕は明日も夢を見るだろう。
明日も明後日も・・・ずっとずっと。