ゲイ占い師 豫 空潤です。
少し前のオンライン鑑定です。
ヤスタカさん(仮名・40代ゲイ男性・地方在住)のプライバシー保護のため、多少変更しています。
ヤスタカ「昨年、東京から実家に戻りました。納得して戻ってきたはずですが……」
僕「差し支えない範囲で、ご事情を教えていただけませんか?」
ヤスタカ「高校まで実家にいて、大学入学を機に東京に来ました。就職も東京の会社で、実家には年2回帰るだけでした」
僕「帰省は新幹線? 飛行機?」
ヤスタカ「僕の実家は県庁所在地まで1時間、県庁所在地から東京へは新幹線で2~3時間。飛行機を使うほどではないです」
僕「それほど不便というわけではないですね」
ヤスタカ「でも、やはり、東京暮らしが快適で……」
僕「ゲイの人は、首都圏や近畿圏が暮らしやすいと言いますね」
ヤスタカ「昨年、病気で父が亡くなったんです」
僕「ご愁傷様です」
ヤスタカ「ありがとうございます。父は80歳近かったし、持病があったので、まあ、仕方なかったのですが……」
僕「お母さまがひとり残された?」
ヤスタカ「そうなんです。僕が、父の病室にいてパソコンで仕事の連絡をしていたら、父が『お前、リモートワークが可能なら、家に帰ってこないか?』って言ってきて……」
僕「お父様は、ご病気で気弱になったのでしょうか?」
ヤスタカ「父は癌だったので、死を覚悟していたんです。それで、母を僕に託したいと考えたんです」
僕「お母さまは高齢なのですね?」
ヤスタカ「母はまだ70代前半で元気です。でも、父が『お前のために生きた母さんに恩返ししてくれ』って言って……」
僕「恩返し?」
ヤスタカ「母は継母なんです。僕の生みの母は、僕が2歳の時に男つくって家出して……。困っていた父のところに初婚の母が来てくれたんです」
僕「ヤスタカさんは、その頃の記憶はないですよね?」
ヤスタカ「小学校入学前まで、今の母が本当の母だと思ってました。でも、小学校で、友達から『お前んとこ、まま母だろ?』って言われて……」
僕「事情を知っているお友達がいたんですね?」
ヤスタカ「田舎だから、そういうの、知れ渡るんです」
僕「お母様やお父様に聞きましたか?」
ヤスタカ「はい。父はあっさり認めて、母は泣きながら『でも、ヤスくんのお母さんは私だから』って言ってくれて……」
僕「小学生にとってはショックでしたね?」
ヤスタカ「そうですね。ただ、育ての母については、可愛がってくれたから、僕も『自分の母親はこの人しかいない』って思いました」
僕「家出した実母さんの方がショックだった?」
ヤスタカ「はい。親戚の人からもいろいろ悪い噂聞いて……。だから、実母の現在の情報は知りたいとも思わないです」
僕「ヤスタカさんとしては、育ててくれた今のお母様への恩返しとして、実家に戻り、一緒に暮らされた?」
ヤスタカ「母は、我が子を中絶しているんです。ちょうど僕が『母さんはまま母なの?』って聞いていた頃で……」
僕「ヤスタカさんの為に、我が子をあきらめた?」
ヤスタカ「父はそう言ってました。『母さんは、ヤスくんがいるなら、それでいいって言ってくれた』って……」
僕「平等に愛する自信がなかったのでしょうか?」
ヤスタカ「田舎ですから、いろいろ言われるんですよ。母が僕を叱れば、『まま母は怖い』とか『子を産んでない女は、優しさに欠ける』とか……」
僕「平等に愛するつもりでも、周囲は色眼鏡で見てくる……。だったらいっそ、自身の子はいらない……」
ヤスタカ「すごい決断ですよね? おかげで、僕は母の愛情を疑ったことはありません。父に叱られた時も、いつも母がかばってくれました」
僕「それを考えると、お父様亡き後、お母様をひとりにはできず、実家に戻ることにした?」
ヤスタカ「その決断は、今でも正しいと思います。母との2人暮らしは平和で穏やかですし……」
僕「ヤスタカさんはリモートワークで、今まで通り働いていて、お母様は家事?」
ヤスタカ「母は、若い頃から畑もやっているんです。だから、昼間は、僕はリモートワーク、母は畑仕事。それはいいんですが……」
僕「ヤスタカさんは、東京にいらした頃は、お付き合いする人は?」
ヤスタカ「少しはいましたが、短期間で自然消滅してばかりで……。40過ぎてから誰もいません」
僕「ご実家に戻られてからは、SNSでゲイ友とやりとりですか?」
ヤスタカ「一応やってはいますが、僕からは何も発信することがないんですよね」
僕「土日は休みですよね?」
ヤスタカ「土日は、母の畑を手伝って、買い物に車を出して……。途中で外食したり……母が鰻好きなんです」
僕「親孝行ですね? お母様はお見合いを勧めたりはしない?」
ヤスタカ「母は『いい人がいたら、一緒になりなさい。母さんはひとりでも大丈夫だから』って言ってくれるだけです。結婚を勧めてくるのは、親戚とか昔の友人とかですね」
僕「そうなんですね」
ヤスタカ「親戚は『お母さんへの恩返しのためにも、嫁をもらって同居しなさい』って言ってきて、断るのが大変です。同窓会に出れば、みんな既婚・子持ちで、独身の僕に対して未婚やバツイチの女性を紹介してきて……」
僕「みんな、善意なんですがね……」
ヤスタカ「それはわかります。ただ、40代からのゲイの田舎暮らしは、考えても、考えても……いい見通しがなくて」
僕「ゲイバーとか地元にはないですか? ゲイの集まる場所とか?」
ヤスタカ「県庁所在地にはあります。でも、往復だけで2時間かかるんですよ。1度だけ行ったら、母に長時間何していたか聞かれてしどろもどろになって……」
僕「そうなんですね」
ヤスタカ「その割に、人少なくて、年齢層高くて……もう行く気しません。遠距離でもなんでも、彼氏がいれば全然違うんですが……」
僕「……」
ヤスタカ「母には感謝しているから、最後は介護して、看取りたいとは思いますけど……母が平均寿命まで生きるとすると、あと15年。その頃、僕は還暦です。絶望ですね」
僕「お母様を連れて東京に行くとか?」
ヤスタカ「母は畑が生きがいなんです。育ててる野菜を我が子のようにかわいがっていて……。東京に行こうと誘ったこともありましたが、『ヤスくん、ひとりで東京に行っていいよ』って言われました」
僕「易タロットで、メッセージをもらいましょう」
ヤスタカ「お願いします」
↑「山沢損(さんたくそん)」
男性が人を背負って階段を上っています。
人の役に立つことをしていれば、いつか回りまわって、自分にもいいことが起こるのです。
ヤスタカ「いいことが僕に起こるのですか? 想像がつきません。どうすれば、そんな幸運を手にできるのでしょうか?」
僕「もう1枚引いてみましょう」
↑「雷風恒(らいふうこう)」
今まで通りのことをしていましょう。
あなたの役目を果たしましょう。
ヤスタカ「今まで通りのことだけで、いいのですか?」
僕「新しいことをする必要はありません。今までしたことが、たとえつまらなく思えても、続けましょう」
ヤスタカ「仕事と母との生活をしていればいいのですか?」
僕「SNSもしているのですよね? 発信することがなくても、人のを見るだけでもいいではありませんか? ゲイバーなどにも、行ける機会があれば、また行けばいいと思います。小さなチャンスを逃さなければ、いいことがあるのです」
ヤスタカ「どうせ何もないとか……って、あきらめない方がいいのですね?」
僕「そうです。地方にもゲイの人はいるでしょう。都会よりは少ないかもしれませんが、ヤスタカさんと縁がある人がきっと現れます。その縁を逃さず、大事にしてください」
ヤスタカ「今のままでもいいことがあるのですね?」
僕「僕も、ずっと母と2人暮らしでしたから、ヤスタカさんの絶望はわかります。母が亡くなった時、既に僕は40歳を過ぎてました。でも、1年経たないうちにTommyと出会って、今、一緒に暮らしてます」
ヤスタカ「あやかりたいです」
僕「その時、その時を精いっぱい生きることです。短気を起こしたり、あきらめたりしないことです」
ヤスタカ「わかりました。今の暮らしを続けつつ、SNSなども、もっとやってみます。ありがとうございました」
僕「こちらこそ、ありがとうございました」
さて、今日の易タロットです。
↑「巽為風(そんいふう)」
心地よい風が吹いています。
木の葉も草もそよぎ、蝶が風に乗っています。
流れに乗りやすい時なのです。
ただし、誰の流れに乗るかが、大事です。
あっちにもこっちにも顔を立てていると、優柔不断になりがちです。
信頼できる人を見極めるのが肝要です。
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