ゲイ占い師 豫 空潤です。
先月24日に、日本文学研究者ドナルド・キーンさん(96)が心不全で亡くなりました。
2011年に日本国籍を取得し、日本人として東京で亡くなりました。(喪主は、養子の誠己さん)
キーンさんの名前は知っていましたが、著書は読んだことがありません。
代表作が「百代の過客」ということで、遅ればせながら、さきほど、図書館から借りてきました。
序文だけ読みましたが、面白いですね。キーンさんが、なぜ、日本の「日記」にひかれたかがわかりやすく書かれています。上巻だけで250ページ以上あるので、読み切れるか自信ありませんが、少しずつ読んでいきます。
ところで、キーンさんとは関係ないのですが、
「地元で結婚したゲイの友人」https://ameblo.jp/frogat/entry-12437942680.htmlで、
「僕よりもずっと年上で、誰もが結婚しなければならない時代に生きて、結婚し、子供をもうけて、少なくとも表向きには穏やかな家庭を築いた人達のことではありません。
(もちろん、ゲイの先輩達には、すごい葛藤があったはずですが、僕がどうこう言えることではないと思うのです)」
と、書きました。
先日、そういうゲイの大先輩の人と話す機会がありました。仮にRさん(関東在住・80代)とします。Rさんは、20代後半に結婚し、子供がいなくて、奥様と2人暮らしです。
Rさん曰く「彼氏がいたことはある。遠距離だったから、月に1回ぐらいしか会えなかったけど。妻には、彼氏を友人として紹介し、関東にやってきたら、〇〇くんと会ってくると、妻にちゃんと言う。妻も同性の友人が多く、外出が多いので、もめたことはない」
Rさんの会話には、「彼氏」の話はほとんど出てきませんが、「奥さま」の話題は頻繁に出てきます。「年を取って、妻が料理できなくなったので、私がやってる」とか。
奥さまにはお会いしたことはないのですが、50年以上も暮らしていることからも、仲は悪くないようです。
Rさんは、僕がTommyと、ゲイ同士で夫婦のように暮らしていることを喜んでくださいました。
既婚者のゲイの中には、「ゲイも女性と結婚した方がいい。親兄弟、親戚、上司、みんなが喜んでくれる。家庭を大事にしつつ、同性への性欲は、外で適当に発散すればいい」と言う人もいるのですが、Rさんは、僕達のような生き方を「応援します」と言ってくださいました。
ただ、「カミングアウト」の話になった際に、Rさんは「自分は、こういう話題では、いつも宙ぶらりんです。偽りの中で生きているので。ただ、自分は『カミングアウト』は超越していると思いたい……」とおっしゃいました。
奥さまと仲良く暮らしている(ように見受ける)Rさんですが、やはり、ゲイでありながら、そこを隠して女性と結婚生活を続けていることに、自責の念をお持ちのようです。
ただ、カミングアウトについては、「超越していると思いたい」という考えは、どういうものでしょうか?
カミングアウト自体は、応援する。それができる若いゲイの人達はいいと思う。だが、1960年代はとても無理で、結婚圧力にも抗しきれなかった。だから、恋愛とは言えなかったが、仲良く暮らせそうな女性と結婚した。「ゲイ」は言えないが、それ以外は、できるだけ隠し事せず、生活してきた。「ゲイであること・男性の愛人がいたこと」は、墓場まで持っていくつもりだ。だから、私は「カミングアウト」の当事者ではない……と思いたい。
ということなのでしょうね。
何も言えないですね。僕も、戦中戦前に生まれていたなら、同じような生き方になったでしょうから。
それだけに、ゲイとして生きられる今(のTommyとの生活)を大事にして、理解してくださる方々に感謝を忘れずにいたいものです。
