いまは自分には、幸福も不幸もありません。


ただ、一切は過ぎて行きます。


自分がいままで阿鼻叫喚で生きてきた所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、


真理らしく思われたのは、それだけでした。


ただ、一切は過ぎて行きます。



(太宰治「人間失格」より)