ラブ・ノウツ:ラムゼイ・ルイス | かえるの音楽堂

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LOVE NOTES : RAMSEY LEWIS

(1976年)

 ラムゼイ・ルイスは1956年にチェス・レコードよりアルバムデビュー以降現在まで数多くのアルバムを発表しています。1972年にはコロンビア・レコードにで移籍し1974年発表のアルバム“SUN GODDESS(太陽の女神)”では、かつてラムゼイ・ルイス・トリオのドラマーを務めていたアース・ウィンド&ファイアーのモーリス・ホワイトをプロデューサーに迎えました。アルバムではアースのメンバーも参加しアルバム・タイトル曲が大ヒットしました。続く作品“Don’t It Feel Good”ではラムゼイやアースとは馴染みの深いチャールズ・ステップニーがプロデュースを行いました。そして76年にはチャールズ・ステップニーとモーリスにプロデュースを委ね“SALONGO(サロンゴ)”を制作しました。このアルバムではアフリカ音楽やブラジル音楽を取り入れアースのメンバー参加もありファンキーで素晴らしいフュージョン作品となりました。 “SALONGO”発売直後にプロデューサーのチャールズ・ステップニーが急逝しました。次に発表した本アルバム“LOVE NOTES(ラヴ・ノウツ)”のプロデュースはラムゼイとバート・デコトーが務め、またモーリスはじめアースのメンバーの参加していないアルバムとなりました。参加メンバーは“SALONGO”と同じ当時のレギュラー・メンバーが中心でダーフ・レクロウ・ラヒーム(flpervo)、バイロン・グレゴリー(g)、ジミー・ブライアント(clavinet)、ロン・ハリス(b)、テリー・フライヤー(key)、キース・ハワード(ds)、マイケル・デイヴィス(tpvo)です。このアルバムでの最大の話題はスティーヴィー・ワンダーが2曲を書き下ろし、キーボードで演奏にも参加していることです。スティーヴィーはこの時期大傑作“Songs In The Key Of Life(キー・オブ・ライフ)”を発表した直後の絶頂期でした。ラムゼイはこれまでもスティーヴィーの曲を自身のアルバムに収録していることから考えても、スティーヴィーの曲を愛しているのではないでしょうか。アルバム・ジャケットはピアノを弾く手のアップ写真です。この写真に象徴されるように、ラムゼイは主にアコピを中心にエレピとシンセサイザーを弾いています。

 

1. Spring High(スプリング・ハイ)

2. Love Theme From "A Star Is Born"(「スター誕生」愛のテーマ~エヴァーグリーン)

3. Shining(シャイニング)

4. Love Notes(ラヴ・ノーツ)

5. Chili Today, Hot Tamale(チリ・トゥデイ、ホット・タマーリ)

6. The Messenger(ザ・メッセンジャー)

7. Stash Dash(スタッシュ・ダッシュ)

 

まずスティーヴィーとラムゼイ共作の1曲目「Spring High」はとてもスティーヴィーらしい曲です。スティーヴィーのシンセにラムゼイのアコピが絡む構成です。スティーヴィーのうねうねした感じの演奏がなんとも言えない感じです。2曲目「Love Theme From "A Star Is Born"」は76年公開の映画「スター誕生」のテーマ曲をカバーしました。この映画ではバーブラ・ストライサンドが主演を務めテーマ曲を歌い全米ポップチャート1位に輝きました。ラムゼイはアコピを哀愁たっぷり弾きます。3曲目「Shining」は録音メンバーのバイロン・グレゴリー、、ロン・ハリス、ダーフ・レクロウ・ラヒームの共作のファンキーなナンバーです。ここではラムゼイはエレピを弾いています。マイケル・デイヴィスとラヒームが歌っています。アルバム・タイトル曲の4曲目「Love Notes」もスティーヴィー・ワンダーの書き下ろしです。この曲もまたスティーヴィーらしいグルーヴィーで美しい曲です。ラムゼイの弾くスタインウェイの響きが素晴らしい演奏です。5曲目「Chili Today, Hot Tamale」はダーフ・レクロウ・ラヒームの作の疾走感あるファンク・チューンです。作者のダーフがフルートとパーカッションで活躍しています。6曲目「The Messenger」は緩急溢れる曲です。ラムゼイはバラードっぽい演奏と熱いプレイを織り交ぜて歌うように弾いています。ここではテリー・フライヤーが今は懐かしいアナログ・シンセ、アープ2600とポリムーグを弾いています。7曲目「Stash Dash」はダーフ・レクロウ・ラヒームの作のファンク・チューンです。ラムゼイはシンセ・ソロを弾いています。今年85歳のラムゼイですが2018年に公式サイトで現役引退を表明したそうです。ところが2019年には“アーバン・ナイツ”でアルバムを発表しており、まだまだ創作意欲は衰えていないようでここでまた新作を期待したいところです。