マイ・ラブ:サリナ・ジョーンズ・ウィズ・スタッフ | かえるの音楽堂

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70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
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MY LOVE:SALENA JONES WITH STUFF

(1981年)

実力派シンガー、サリナ・ジョーンズは14歳の時にソウルの殿堂“アポロ・シアター”のコンテストで優勝し、その2年後にプロ・デビューしました。60年代のアメリカの人種差別といった社会情勢に危機感を持ち、65年にアメリカを飛び出しスペインに渡り、その1年後にはイギリスに渡り以後ロンドン郊外に住んでいます。ヨーロッパを活動拠点にする一方、日本には60回以上の来日を重ねている大の親日家です。日本でも人気がありアルバムの総売り上げは日本だけでも50万枚以上となっています。今回取り上げる作品はサリナが絶頂期のバンド“スタッフ”と共演したアルバムです。この作品は日本独自の企画盤で録音は日本で行われました。これはちょうどサリナ・ジョーンズとスタッフの来日が重なり実現しました。メンバーは、クリス・パーカーが来日しませんでしたので、クリス以外の全メンバーが参加しています。サリナ自身はスタッフとの共演はもちろんのこと、彼らの演奏も聴いたことがなかったそうです。しかしスタッフのメンバーはソウル、ディスコからロック、ポップスといった幅広いジャンルで数多くのミュージシャンのアルバムに参加していることからも分かるように、彼らの絶妙なバッキングは歌手の実力を最大限に引き出しています。それに応えるようにサリナは彼らをバックにきめ細かく丁寧でしっとりとしたムードで歌っています。収録は全8曲でアレンジはリチャード・ティーです。

 

1.EVERYDAY(エブリデイ)

2.MY LOVE(マイ・ラヴ)

3.BEST THING THAT EVER HAPPENED TO ME

  (ベスト・シング)

4.TEACH ME TONIGHT(ティーチ・ミー・トゥナイト)

5.HELP ME MAKE IT THROUGH THE NIGHT

  (ひとりぼっちの夜)

6.LOVING ARMS(ラヴィング・アームズ)

7.I DON’T WANT TO BE ALONE TONIGHT

(アイ・ドント・ウォント・トゥ・ビー・アローン・トゥナイト)

8.LATELY(レイトリー)

 

1曲目「EVERYDAY」はリチャード・ティーの曲で、彼自身のアルバムにも収録されています。ここでもリチャード・ティーが渋い声を聴かせています。サリナのぐっと抑えた歌いっぷりそしてバックのリチャードのオルガンも、スティーブのドラムス、ゴードンのずっしりしたベース、エリックのブルージーなギターも最高です。2曲目アルバム・タイトル曲「MY LOVE」はポール・マッカートニーの曲です。ポールのラヴ・ソングをサリナは抒情性豊かにしっとり歌っています。そして途中のコーネル・デュプリーのソロもまた素晴らしいです。3曲目「BEST THING THAT EVER HAPPENED TO ME(ベスト・シング)」はジム・ウェザリーの作品です。リチャードのピアノもイントロからスタートします。スタッフのメンバーの演奏をバックに哀感ある歌いっぷりです。4曲目「TEACH ME TONIGHT」はサミー・カーン作詞、ジーン・ディ・ポール作曲のスタンダード・ナンバーです。この曲はフィービー・スノウ、パティ・オースティン、アル・ジャロウといった歌手達も取り上げています。サリナはソウル・フィーリングたっぷりに歌います。控えめながらブルージーなエリック・ゲイルのギターがフィーチャーされます。5曲目「HELP ME MAKE IT THROUGH THE NIGHT」はシンガー・ソングライター、クリス・クリストファースンの作品です。サリナの表現力豊かな歌が光ります。6曲目「LOVING ARMS」はフォーク歌手トム・ヤンスの作でエルヴィス・プレスリー、クリス・クリストファーソンら多くのアーティストがカヴァーした名曲をソウルフルに歌います。7曲目「I DON’T WANT TO BE ALONE TONIGHT」シェル・シルヴァースタイン作のロック・ナンバーです。躍動的なバックに乗ってリチャード・ティーと一緒に歌います。そしてラスト8曲目「LATELY」はスティービー・ワンダーの珠玉のバラードです。スティーヴィーのオリジナルは言うまでもなく素晴らしいのですが、しっとり歌うサリナの歌唱もまた素晴らしいですね。この作品はサリナのアルバムとしても、またスタッフのアルバムとしても楽しめます。彼らのバッキングは本当に本当に最高です。歌手も気持ち良く歌えるでしょうね。