シェエラザード:ヒューバート・ロウズ | かえるの音楽堂

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THE SAN FRANCISCO CONCERTHUBERT LAWS

(1975年)

 ジャズ・フルートの第一人者ヒューバート・ロウズはジュリアード音楽院を卒業しジャズのみならず、ニューヨーク・フィルやメトロポリタン・オーケストラとの共演などクラシック分野でも活躍しています。ロウズ一家は音楽一家として知られており、兄のブランチは歌手で、ヒューバートが次男、三男のジョニーは元トランペッターで歌手。4人目の長女エロイーズと6人目の次女デブラは歌手、四男のロニーはサックス奏者です。ヒューバートは1965年にアトランティックからアルバム・デビューし、60年代後半にCTIに移籍しました。CTIでは多くのリーダー作を製作し、また数々のアルバムにも参加しました。それだけクリード・テイラーからの信頼が厚かったものと思われます。1976年にはコロンビア・レーベルに移籍し、ここでも多くの作品を残しています。今回紹介する作品は1975104日にカリフォルニア州オークランドにあるパラマウント・シアターで行われた模様を収録したライブです。余談ですがタイトルのサンフランシスコ・コンサートはサンフランシスコ・シンフォニー・オーケストラと共演という意味で、サンフランシスコでのライブではありません。参加メンバーはヒューバート・ロウズ(fl)、ボブ・ジェイムス(key)、グレン・ディアドルフ(g)、ゲイリー・キング(b)、ハーヴィー・メイソン(ds)、デニス・デ・コトー指揮 サンフランシスコ・シンフォニー・オーケストラです。

 

1. Modadji(モダージ)

2. Feel Like Makin' Love(愛のためいき)

3. Farandole(ファランドール)

4. Scheherazade(シェエラザード)

 

1曲目「Modadji(モダージ)」はデイヴ・グルーシン作のミディアム・スローな曲です。ボブのアレンジも原曲のイメージを生かしたセンスの良いものです。デイヴのアルバムではグローヴァー・ワシントン,Jr.がサックスを吹いていました。ここではヒューバートがフルートでテーマを吹きます。循環呼吸を使ったプレイなどフルート・ソロを充分に聴かせてくれます。フルート・ソロに続いてボブ・ジェームスのエレピ・ソロへと続きます。2曲目「Feel Like Makin' Love(愛のためいき)」はロバータ・フラックの曲ですが、もはやスタンダード曲となっておりマリーナ・ショウ、ジョージ・ベンソンなど数多くのミュージシャンがカバーしています。ここではヒューバートとボブがフルートとエレピで交互にソロを取ります。そして後半の2曲はCTIでは定番のクラシックからの曲が続きます。まず3曲目はビゼー作曲「組曲 アルルの女」から「Farandole(ファランドール)」です。この曲はボブ・ジェームスのCTI第二作目の「TWO」に収録されていた曲で、ボブのアルバムでもヒューバート・ロウズがフルートを吹いており、またベースもライヴと同じくゲイリー・キングが弾いていました。ブラスのイントロに続きグレンのギターのカッティングをバックにボブがエレピでソロを取ります。そしてヒューバートも加わりテーマの繰り返しに続いてヒューバートが美しいトーンでソロを吹きます。アンサンブルでテーマの後、ハーヴィーのドラム・ソロからエンディングとなります。4曲目「Scheherazade(シェエラザード)」はリムスキー・コルサコフの作曲の交響組曲です。ボブのエレピとヒューバートのフルートでテーマを繰り返します。ヒューバートにとっては、こういったクラシックの曲はお手の物です。ラストは静かにテーマを繰り返して幕を閉じます。このアルバムはヒューバート・ロウズのライヴ・アルバムですが、ボブ・ジェームスのアレンジとエレピ演奏が光る作品で、ボブとヒューバートの双頭アルバムと言ってもおかしくないと思います。いかにもボブ・ジェームスらしく壮大なスケールで見事フュージョン化されています。ヒューバートはCTIではこのほかカーネギー・ホールでのライヴ・アルバムも発表しました。こちらも合わせて聴いていただきたいですね。