スコア:ランディー・ブレッカー | かえるの音楽堂

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SCORERANDY BRECKER

(1969年)

 ランディー・ブレッカーの記念すべきファースト・アルバムを紹介します。ランディーといえば、弟マイケル・ブレッカーと一緒に“ブレッカー・ブラザース”を結成しその尖ったサウンドで一世を風靡しました。彼は弟マイケルの活躍に比べ地味な印象を受けますが、70年代から90年代のフュージョン全盛期に多くのミュージシャンの作品やライヴなどに参加し大活躍しました。ランディは1945年にフィラデルフィアで生まれました。父親がジャズ・ピアニストという家庭で、家にあったトランペットを手にしたことがトランペッターとしてのスタートになりました。ちなみに3歳年下のマイケルは家にあったクラリネットを手にしたことがサックス・プレーヤーとしてのスタートです。もしこの時ふたりが逆の楽器を手にしていたらどうなったのでしょうね。ランディは大学時代にJAZZコンテストで優勝しニューヨークに進出しました。そしてビック・バンドやコンボに参加し実績を上げるとともに多くのミュージシャンとの人脈を築きました。そして1969年ランディ23歳の時にチャンスが訪れました。ランディの在籍していたバンドのリーダーでピアニスト、デューク・ピアソンのプロデュースのもとファースト・アルバム「SCORE(スコア)」を発表しました。参加メンバーはランディ・ブレッカー(tp,flh)、マイケル・ブレッカー(ts)、ジェリー・ドジオン(alt-fl)、ラリー・コリエル(g)、ハル・ギャルパー(pel-p)、エディ・ゴメス(b)、チャック・レイニー(el-b)、ミッキー・ローカー(ds)、バーナード・パーディー(ds)です。曲はランディ作が4曲、ハル・ギャルパー作が3曲、トラディショナルの曲が1曲の8曲で、参加メンバーにより大きくふたつのタイプの楽曲に分けられます。ひとつがエディ・ゴメス、ミッキー・ローカーが参加したジャズ・セッション、もうひとつがチャック・レイニー、バーナード・パーディーが参加したセッションです。また当時まだ10代のマイケル・ブレッカーの参加が注目です。おそらくこれがマイケルにとっても最初のレコーディングです。まだ荒削りでそれほどの個性は感じませんがその後の大活躍を予感させる演奏です。

 

1.Bangalore(バンガロール)

2.Score(スコア)

3.Name Game(ネイム・ゲーム)

4.The Weasel Goes Out To lunch(ザ・ウィーゼル・ゴーズ・アウト・トゥ・ランチ)

5.Morning Song(モーニング・ソング)

6.Pipe Dream (パイプ・ドリーム)

7.The Vamp(ザ・ヴァンプ)

8.The Marble Sea(ザ・マーブル・シー)

 

1曲目「Bangalore(バンガロール)」はランディの曲でベースはエディ・ゴメス、ドラムはミッキー・ローカーです。メロディ・ラインが印象的なランディらしい曲は、60年代後半の新主流派のジャズらしい曲です。ランディのソロに続いてマイケルの若々しいプレイはコルトレーンやジョー・ヘンダーソンの影響を受けた感じですね。アルバム・タイトル・ナンバーの2曲目「Score(スコア)」ハル・ギャルパー作です。ブラス・ロック風のフュージョン聡明期を感じさせる曲です。ベースはチャック・レイニー、ドラムはバーナード・パーディーです。マイケルのソロに続いてランディが思い切りブローします。ラリー・コリエルがジャジーでファンキーなソロを聴かせてくれます。3曲目「Name Game(ネイム・ゲーム)」もハル・ギャルパー作です。再びエディ・ゴメスとミッキー・ローカーのリズム隊をバックにアコースティックなジャズ・ナンバーです。4曲目「The Weasel Goes Out To lunch(ザ・ウィーゼル・ゴーズ・アウト・トゥ・ランチ)」は短めのトラディショナルの曲でランディとマイケルのふたりで演奏します。5曲目「Morning Song(モーニング・ソング)」はランディ作で軽快なテンポのメロディが美しい曲です。ランディに続くラリー・コリエルのソロが良い感じです。6曲目「Pipe Dream (パイプ・ドリーム)」はランディ・ブレッカー作です。テーマに続くコリエルのギター・ソロが見事です。続いてエディ・ゴメスのウッドベース・ソロ、ランディのフリューゲル・ホーンと続きます。7曲目「The Vamp(ザ・ヴァンプ)」はハル・ギャルパー作のちょっと陽気なナンバーです。ランディがファンキーに吹きまくります。それに続いてマイケルがファンキーにブロウします。ベースはチャック・レイニー、ドラムははバーナード・パーディーです。ラリー・コリエルのブルージーなソロも聴かせてくれます。やはりフュージョン聡明期的作品です。8曲目「The Marble Sea(ザ・マーブル・シー)」はランディ作のボサノヴァ・ナンバーです。ランディのソロも良く歌っています。ここでもラリー・コリエルのギターが光っています。この作品の後ランディとマイケルはマイク・マイニエリの今や伝説のバンド“ホワイト・エレファント”に参加したり、バンド“ドリームス”を結成しました。“ドリームス”がベースとなり74年には“ブレッカー・ブラザース”を結成しました。「SCORE(スコア)」はふたりの原点とも言える貴重な作品です。