クァルテット・ヒューマン:ボブ・ジェームズ&デヴィッド・サンボーン | かえるの音楽堂

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QURTETTE HUMAINEBOB JAMES & DEVID SANBORN

(2013年)

 幸せな競演って、ジャズ・フュージョンの世界でもいっぱいあると思います。そんなコラボレーションのひとつに1986年発売のボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーンのアルバム「DOUBLE VISION(ダブル・ビジョン)」があります。このアルバムはジャズ・チャートのみならずポップス・チャートでも売れ、グラミー賞に輝きました。「DOUBLE VISION(ダブル・ビジョン)」はプロデュースにトミー・リピューマ、バックにはマーカス・ミラー、エリック・ゲイル、ポール・ジャクソン、スティーブ・ガッド、アル・ジャロウ、ポウリーニョ・ダ・コスタといったミュージシャンが参加しており、スムース・ジャズにも通じるフュージョン作となっていました。そして27年振りのボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーン競演のアルバムが今回紹介の「QURTETTE HUMAINE(クァルテット・ヒューマン)」です。原題の“QURTETTE HUMAINE”はフランス語で、ライナーによればボブ・ジェームスが語るところ「人間味のある表現を僕とデイヴが出していくことに対する思い入れ、そして4人からなるクァルテットへの思い入れもあって、このタイトルにした」とのことです。タイトルの通り、今回のメンバーはボブとデヴィッドの二人と、ドラムにスティーブ・ガッド、ベースはジェームス・ジナスの4人です。プロデュースはボブとデヴィッドの二人で、アレンジはボブが担当しています。今回のアルバムではボブはアコースティック・ピアノを弾いており、またベースのジェームス・ジナスもウッド・ベースを弾いているように、アコースティックな作品となっています。また前作のようなヴォーカル曲もないのでよりジャズっぽいアルバムとなっています。とは言え単に4ビートジャズになっていないところが、さすがボブ・ジェームズのアレンジです。サウンド的にも非常に各楽器の音がクリアでよく鳴っています。スティーブ・ガッドとジェームス・ジナスのベースもすごく良くバックを固めています。スティーブ・ガッドのドラムなんかスティックを振り下ろす姿が目に浮かぶようです。「DOUBLE VISION(ダブル・ビジョン)」の路線を望む人もいると思いますが、今回の「QURTETTE HUMAINE(クァルテット・ヒューマン)」のようなサウンドが今のボブとデヴィッドがやりたい音楽であり、我々に聴いてもらいたい音楽なんだと思います。曲は国内盤はボーナス曲2曲を含む全11曲です。

 

.YOU BETTER NOT GO TO COLLEGE(ユー・ベター・ノット・ゴー・トゥ・カレッジ)
.GESTE HUMAIN(ジェスト・ヒューマン)
.SOFIA(ソフィア)
.FOLLOW ME(フォロー・ミー)
.MY OLD FLAME(マイ・オールド・フレーム)
.ANOTHER TIME,ANOTHER PLACE(アナザー・タイム、アナザー・プレイス)
.MONTEZUMA(モンテズマ)
.THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES(夜は千の眼をもつ)
.GENEVIEVE(ジュヌビエーブ)
10.DEEP IN THE WEEDS(ディープ・イン・ザ・ウィーズ)
11.MAPUTO(マプート)

 

 1曲目「YOU BETTER NOT GO TO COLLEGE(ユー・ベター・ノット・ゴー・トゥ・カレッジ」はボブ・ジェームスの曲です。2曲目「GESTE HUMAIN(ジェスト・ヒューマン)」はフランスのシンガー・ソングライター、アリス・ソイヤーの作品です。3曲目の「SOFIA(ソフィア)」はサンボーン作で、彼の2005年のアルバム「クローサー」に収録されていた曲です。4曲目「FOLLOW ME(フォロー・ミー)」はボブの曲で、この曲と1曲目の曲はデイヴ・ブルーベック・クァルテットへのトリビュート的作品です。5曲目「MY OLD FLAME(マイ・オールド・フレーム)」はアーサー・ジョンソンとサム・コスロウ作のスタンダード・ナンバーです。6曲目「ANOTHER TIME,ANOTHER PLACE(アナザー・タイム、アナザー・プレイス)」もサンボーン作で「クローサー」に収録されていた曲です。7曲目「MONTEZUMA(モンテズマ)」はボブ・ジェームスの曲です。8曲目「THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES(夜は千の眼をもつ)」はジェリー・ブレイニンとバディ・ベルニエの作でジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズも取り上げたスタンダード・ナンバーです。9曲目「GENEVIEVE(ジュヌビエーブ)」はデヴィッド・サンボーンの曲で孫娘のために書いた曲です。10曲目「DEEP IN THE WEEDS(ディープ・イン・ザ・ウィーズ」はボブ・ジェームスの作でこのアルバムでは唯一グルーヴィーでフュージョン・タッチの曲です。そして注目はラスト11曲目の日本盤ボーナス曲「MAPUTO(マプート)」です。この曲はマーカス・ミラー作で「DOUBLE VISION(ダブル・ビジョン)」に収録されていた曲ですが、今回はボブとデヴィッドによるデュオ作となっています。余談ながらこのアルバムを購入した当時には初回特典で、この「MAPUTO(マプート)」のスコアがついていました。スコアを見ながら聞いてみるとまたさらに理解が深まったような感じです。大ヒットアルバムから四半世紀を超え実現したこのアルバムでは変わらないエモーショナルなデヴィッドのサックスと、寄り添うように弾くボブのリリカルなピアノ、そしてスティーブ・ガッドとジェームス・ジナスの好サポート!これもまた時代を超えて、名盤として聴かれていくと思います