レイト・ナイト・トーク:ハイラム・ブロック | かえるの音楽堂

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70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
らSOULまで、かえるのお勧めのGood Music Albumや音楽情報な
どを紹介いたします。

LATE NIGHT TALKHIRAM BULLOCK

(1997年)

 ハイラム・ブロックは大阪生まれのパナマ育ち、幼い頃にピアノを始め11歳からサックスを、そしてジュニア・ハイスクールではロック・バンドでベースをプレイし、16歳でギターに転向しました。その後パット・メセニー、ジャコ・パストリアス、ウィル・リーらと出会い、76年にニューヨークでセッション・ギタリストとして活躍し出しました。70年代後半になるとセッション仲間のウィル・リーらと“24丁目バンド”を結成しライブを含む3枚のアルバムを製作しました。80年代に入りリーダー・アルバムをリリースしたり、“ハイラム・ブロック・バンド”を組んで活動したり、デヴィッド・サンボーンやボブ・ジェームス、チャカ・カーン、ビリー・ジョエルなど色々なミュージシャンのアルバムやライブに参加して活躍しました。セッション・ミュージシャンとして活躍していたように超多忙でありながら、自分のリーダー・アルバムも多く製作していたように、本当に精力的に演奏活動を行っていました。彼はロック・テイストに溢れるギターだけでなく、ソウルフルなヴォーカルも披露していました。晩年は巨体を揺らしてギターやヴォーカルを聴かしてくれました。今回紹介するのは、97年に日本のヴィーナス・レコードで製作されたリーダー・アルバムです。曲はハイラムのオリジナル5曲とカバー5曲の全10曲という構成になっています。参加メンバーはハイラム・ブロック(g,keyb,vo)、ドクター・ロニー・スミス(B-3 organ)、ジョー・ロック(vib)、エド・ハワード(b)、アイドリス・ムハマッド(ds)の5人です。録音は9612月にニューヨークで行われました。

 

1. I Got A Rite(アイ・ゴット・ア・ライト)

2. Long Tine Gone(ロング・タイム・ゴーン)

3. All Fall Down(オール・フォール・ダウン)

4. Creepin(クリーピン)

5. Sugar(シュガー)

6. Late Night Talk(レイト・ナイト・トーク)

7. Morning(モーニン)

8. Gotta Get Your Jollys(ゴッタ・ゲット・ユア・ジョリス)

9. Now It's Time(ナウ・イッツ・タイム)

10. Here's That Rainy Days(ヒアズ・ザット・レイニー・デイ)

 

1曲目「I Got A Rite(アイ・ゴット・ア・ライト)」はハイラムのオリジナルです。オルガンからスタート、ヴァイブのソロ、ハイラムのソロと続くブルージーなインスト曲です。2曲目「Long Tine Gone(ロング・タイム・ゴーン)」はロック・バンド、クロスビー、スティルス&ナッシュの曲のカバーです。作曲はメンバーのデヴィッド・クロスビーです。ハイラムはソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれます。3曲目「All Fall Down(オール・フォール・ダウン)」もハイラムのオリジナルです。ここでもヴォーカルを聴かせてくれます。4曲目「Creepin(クリーピン)」はスティービー・ワンダーの曲で、彼の名盤「ファースト・フィナーレ」に収録されていた曲です。この曲も多くのミュージシャンがカバーしていますが、ハイラムのインスト・ヴァージョンもなかなか良い感じを出しています。5曲目「Sugar(シュガー)」は言わずと知れた、スタンリー・タレンタインのCTI時代のアルバム・タイトルにもなった名曲です。ハイラムのギターもブルージーで良い味を出しています。6曲目「Late Night Talk(レイト・ナイト・トーク)」はアルバム・タイトル曲で、ハイラムのオリジナルです。ハイラムのヴォーカルも味があって良いですし、バックのヴァイブも良い感じでブルージーな雰囲気を出しています。7曲目「Morning(モーニン)」はクレア・フィッシャー作曲によるものです。所々にラテン・ジャズ的な味付けの見られる味わいのある曲です。8曲目「Gotta Get Your Jollys(ゴッタ・ゲット・ユア・ジョリス)」もハイラムのオリジナルで、87年リリースのアルバムに収めれていた曲のセルフカバーです。9曲目「Now It's Time(ナウ・イッツ・タイム)」もオリジナル曲です。10曲目「Here's That Rainy Days(ヒアズ・ザット・レイニー・デイ)」はスタンダード・ナンバーのカバーです。このアルバムはスローからミディアム・テンポのバラード中心の選曲で、全体を通してブルージーでジャジーな演奏を聴かせてくれます。ファンキーでロック・テイスト溢れるハイラムが好きな人には物足りないかもしれませんが、こういったハイラム・ブロックも良いのではないかと思います。