ザ・ラブ・ハズ・ネバー・ゴーン~トリビュート・トゥ・EW&F:ザ・レニー・ホワイト・プロジェクト | かえるの音楽堂

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056-LENNY WHITE PLOJECT












THE LOVE HAS NEVER GONE~TRIBUTE TO EARTH WIND & FIRE : THE LENNY WHITE PRPJECT
(1998年)
 名ドラマーには、コンポーザーやプロデューサーとして才能を発揮している人がいます。レニー・ホワイトもそんなひとりと言えます。ソロ・アーティストとして活躍する一方、79年には自己のバンド“29(トゥエンティ・ナイン)”を、84年にはマーカス・ミラーらと“ジャマイカ・ボーイズ”を結成したり、あるいはプロデュース活動をしていました。そして98年に自己のプロジェクト名義で、EARTH WIND & FIRE のカバー作品を製作しました。これは内容もフュージョンというよりは、かなりジャズ寄りの作品になっています。EARTH WIND & FIREのカバーと言えば、ラムゼイ・ルイスとか、リチャード・ティー、スタッフ、ザ・ベノワ・フリーマン・プロジェクト等のフュージョンや、あるいはソウル系アーティストによって演奏されることが多いです。しかしこれがジャズというカテゴリーで取り上げられるとなると、あまり多くはありません。実際私の持っているアルバムの中でも、ピアニストのハロルド・メイバーン・トリオのアルバム「FANTASY(ファンタジー)」で、「FANTASY(宇宙のファンタジー)」がカバーされていますが、それ以外となると本当にあまり見かけません。ハロルド・メイバーンのカバーは意外ですが、聴いてみてもうまくジャズとして消化されていると思います。ザ・レニー・ホワイト・プロジェクトのメンバーは、レニー・ホワイトを筆頭に、ロン・カーター(b)、パトリース・ラッシェン(p)、ビレリー・ラグレーン、クリストファー・ショーラー(g)、ウォレス・ルーニー(tp)、ヴァネッサ・ルービン(vo)です。これは企画物と言ってしまえば企画物ですが、ベースのロン・カーターや、パトリース・ラッシェンと、その以外なメンバーの人選といい、素材としてEARTH WIND & FIREの曲を取り上げたことといい、その意外性が面白いです。曲によってはフュージョンの香りがする物もありますし、聴いているうちにEARTH WIND & FIREの曲が元々ジャズの曲だったとしてもおかしくないと思わせてしまうものもあり、良くできたアレンジだと思います。今でこそジャズのスタンダード・ナンバーとなっている曲の中にも、元はポップスの曲であったり、あるいは映画音楽であったりするものもあるわけですから、EARTH WIND & FIREをジャズで取り上げることだってありかなと思います。10年後、20年後に「FANTASY」や「AFTER THE LOVE HAS GONE」が普通にスタンダード・ナンバーとして演奏されているかもしれませんね。

1. Evil (オリジナル:「ヘッド・トゥ・ザ・スカイ」)
2. Fantasy (オリジナル:「太陽神」)
3. Earth, Wind & Fire (オリジナル:「スピリット」)
4. After the Love Has Gone (オリジナル:「黙示録」)
5. See the Light (オリジナル:「暗黒への挑戦」)
6. Runnin' (オリジナル:「太陽神」)
7. Spirit (オリジナル:「スピリット」)
8. Getaway (オリジナル:「スピリット」)

 曲は全8曲で曲目の後が、アースのオリジナルのアルバム名です。“太陽神”から2曲、“スピリット”から3曲、その他1曲づつ取り上げています。「FANTASY」や「AFTER THE LOVE HAS GONE」、「GETAWAY」のようなシングル・ヒット曲もあれば、1曲目の「EVIL」や5曲目「SEE THE LIGHT」のような選曲もありとても渋いなと思わせてくれます。2曲目「FANTASY」なんかハロルド・メイバーンと聴き比べてみるのも面白いですね。見事ジャズになってしまいました。パトリース・ラッシェンのピアノもいい感じですね。そして中でも私のお勧めは4曲目「AFTER THE LOVE HAS GONE」です。ヴァーカルにヴァネッサ・ルービンが参加していますが、これもまた最高のジャズ・ヴォーカル・バラードとなっています。彼女の歌いっぷりといい、パトリースのピアノ、そしてウォレス・ルーニーのトランペット・ソロといい、ジャズの香りたっぷりに歌っています。最後のほうのギター・ソロはビレリー・ラグレーンです。ラスト8曲目はヒット曲「GETAWAY」です。ウォレス・ルーニー、パトリース・ラッシェンの熱いソロ、そしてバックのロン・カーター、とてもスリル溢れる演奏です。アースのファンもジャズ・ファン、フュージョン・ファンに是非一度聴いていただきたいアルバムです。