毎朝、会う人がいる。
もう、3〜4年になる。

通勤中に、すれ違う。
私は車、その人は自転車。

70代だと思う。
髪をきれいに結って、
伏し目がちに、
チャリを走らせている。

微妙な色使いの服装で、
しっかり化粧をしている。

元芸者さん、
と言う感じなので、
私は密かに、
「姐さん」と呼んでいる。

「おはようございます、姐さん。
   行ってまいります。」
と心の中で言っている。

時々、会わないことがあると、
「どうしたんだろう?
   まさか、入院したのでは?」
と、不安になる。

また会えると、
「ご無事だったんですね!
   お身体お気を付けて!」
と、ホッとして言ってしまう。

何しろ気になる。

一方的だが、毎朝の私の、
密かな楽しみなのだ。

もう1人、
気になる人がいる。

田舎には珍しいホームレスだ。
ガタイが良くて、
顔の彫りが深くて、長髪なので、
ピーターパンに出てくる、
酋長の様なのだ。

駅の近くの公園を、
根城にしているらしく、
コインランドリーや、
図書館で見かけることもあった。

引っ越してから、
久しく会わなかったのだが、
一昨日見た。

ますます黒く、
シワは深くなっていた。
が、元気そうだった。

「心配してたんだよ!
   なんだ、元気そうじゃん!」
と、肩を叩きたかった。

同じ通勤電車で、恋が芽生えたり、
毎朝すれ違う人に、片思いしたり。

現実に、あると思った。

私は惜しかった。

私の場合は、
オバちゃんと、
ホームレスだったのだから。