No.11 杉並区防災無線電波ジャック事件


【事件概要】
当時、杉並区議会議員だった
長谷川英憲は、
中核派の支援を受けており、
1985年東京都議会議員選挙に出馬していた。 
中核派と敵対する革マル派は、
選挙期間中に
長谷川の選挙ポスターを破ったり
宣伝カーを盗んで放火するなどの
選挙妨害繰り返していた
対する中核派も鉄パイプなどで武装し、
選挙妨害を繰り返す革マル派との 
乱闘騒ぎを区内各所で起こしていた


1985年6月22日午後9時45分
杉並区小中学校など
104ヶ所の公共施設
防災無線屋外拡声子局スピーカーから突然、
女の声で長谷川を中傷する放送が
大音量で流れ出し
放送は25分間に渡って流れ続けた
あまりの大音量に、
区民はあわてて外に飛び出したという。

内容は、
都議選に立候補している長谷川英憲はひどい男です
こんなひどい男を都議にしてはならない
彼らは中核派で人殺しです
長谷川英憲は人殺し

警視庁は、
革マル派の犯行とみなして捜査を進めたが、
犯人が逮捕されることはなく
そのまま迷宮入りとなった。

なお長谷川は1985年の
都議選には落選したものの
1989年の都議選で当選、1期を務めた。

この時も1985年と同様に
杉並区の防災無線がジャックされて
長谷川に対する中傷が放送されたため、
杉並区はその後数年にわたって
選挙期間中の防災行政無線の
運用の自粛を余儀なくされた。

犯行の手口は、
防災無線と同じ周波数の
発信器を自動車に乗せ、
移動しながら妨害電波を
流したものとみられる。

当時の防災無線は音声に
特定の周波数が重畳されている
(トーンスケルチ)だけで
スピーカーが作動する
単純な仕組みだったため、
伝送使用周波数とキーとなる
重畳音声周波数が
割り出せればジャック可能であった。

現在は放送前に
デジタルコードを送信してからでないと
動作しないものや、
伝送自体をデジタル化するなどの方法に
変更されておりジャックすることは困難である。仮に妨害電波を発射しても
デューラスで発信源が
瞬時に割り出せるようになっており、
当時のような延々とした
妨害電波の発射はほぼ不可能である。