河童  [出現地] 全国各地

尻子玉を引っこ抜く。馬や牛を川に引き込む。
相撲が好き。



日本古来のUMA『妖怪』の中で、河童は最もメジャーな存在のひとつだろう。
恐らく誰しもがその姿を頭に思い描く事が出来るのではないだろうか。

河童は全国各地で出没しており、土地によって呼び名や姿形が違う。
その生態もそれぞれ異なるが、相撲好き、馬や牛を川に引き込む、尻子玉を引っこ抜く、というのは全国共通のようである。

ちなみに尻子玉とは肛門の近くにあると想像されていた架空の臓器で、川の中でこれを取られると力が抜けて溺れてしまうと言われていた。




河童には、実在する事を裏付ける物的証拠も存在する。
中でも有名なのはミイラだろう。
大きさ約40㎝。
甲羅はないが、頭が皿のように陥没していて手足の指の間には水かきがある。

また河童は河童文字という彼ら独自の文字を持つと言われており、悪さをした河童が反省して書いたという「河童の詫び証文」なる物も存在している。




数多く残る人間との交流の記録、そしてミイラなどの物的証拠。
これらの事から河童は実在すると考えて間違いないだろう。

しかし現在では河童との遭遇話や目撃情報は激減している。
自然の減少や水質汚染など、環境破壊により個体数が減ってしまっているのだろうか。

あるいは長い年月をかけて人間の暮らす環境に適合し、我々の中に紛れ込んでいる可能性もあるかもしれない。




このような人を見かけた事はないだろうか。
もしかしたら河童かもしれない。

そんな時は古来より伝わる人間と河童の見分け方を試してみるといいだろう。

「あの人河童かも!」と思ったら、すれ違い様にお辞儀をする。
すると相手も頭を下げる。
その時に皿の水がこぼれてヘニャヘニャっと倒れ込んだらその人は河童だ。

だが河童だからといってむやみに嫌ってはいけない。
相撲のひとつも取ってあげて、別れ際にそっとキュウリを差し出そう。

私達は同じ日本に暮らす友達なのだ。




記者 牧田龍彦