カミナリ

[出現地] 全国各地


背負っている太鼓とバチで雷を落とすと言われている。
このカミナリは妖怪というよりも神様、雷神あるいは雷様として認識される事の方が多い。

しかし今回私はある一枚の浮世絵を元に、別の観点から日本古来のUMA『妖怪』としてのカミナリの真の姿に迫ってみたいと思う。


その浮世絵とは「国芳妖怪百景」などで知られる江戸時代の浮世絵師、歌川国芳の作品 流光雷づくし である。




そこには神というより妖(あやかし)の類、小鬼のごとき姿のカミナリ達が我々人間と同じようにせっせと働く様が描かれている。

商売道具の稲妻を研ぐ者、一生懸命に夕立を降らせる者、雲に彩色して雷雲を作る者、石臼を回してゴロゴロと音を鳴らす者。

雷を落とすという大仕事の為にてんやわんやである。
どうやらカミナリは非常に働き者のようだ。
だが何故妖怪である彼らがこんなに働かねばならないのか。

それは彼らを統べる恐ろしい存在がいるからではないかと私は推測する。




それが雷神である。
つまり雷神は文字通り神様、カミナリはその神に仕え身を粉にして働く言わば社員妖怪だったのではないだろうか。
我々の社会に当てはめてみると

株式会社サンダー
 代表 雷神
 社員 カミナリ一堂

といった所だ。

雷というとあのインパクトの強い雷神のビジュアルばかりがフィーチャーされがちだが、その陰には日々の生活の為に必死に働く我々と同じようなカミナリ達の姿があったのではないか。




妖怪カミナリとは、一発の雷の為に心血を注ぐ働く男達・・・

そう考えると、種族の違いはあれど私は彼らに親近感を覚えずにはいられない。
雷鳴轟く中ゲリラ豪雨に打たれても「やりやがったなカミナリめ」と呟いて彼らの仕事を称えようと思う。
そして遠い雲の上でひと仕事終えた男達と酒の一杯でも酌み交わしたい。

そんなふうに私は思うのだ。


記者 牧田龍彦