あの時おかしいと気付くべきだった。
彼女がなぜ受かった大学を教えてくれなかったのか。
3月中頃、いつもの公園で彼女と自分の友達と3人で会った。
3人で会うのは初めてじゃなかったし、友達も彼女の後輩だから普通に会話をした。
友達がふいに聞いた。
友達「どこの大学に行くんですか?」
彼女「えっと、地方やねんか」
自分は友達が聞いた時、下を向いて黙ってた。
友達は何の悪気もなかった。
ただ普通に会話をしただけ。
彼女が答えるまでの一瞬、友達が聞いたことを理解しようとしていた。
彼女が答えた瞬間、時が止まった感じがした。
自分の呼吸や鼓動が全て止まった感じがした。
彼女が言った言葉が理解出来なかった。
そのあとから彼女の方を見れなかった。
会ったあとから分かってきた。
彼女が居なくなるってこと。
この町を出るのにあと10日だってことも。
簡単に会いに行けるところじゃないってことも。
自分は怒っていた。
どうして言ってくれなかったのか。
彼女は言えなかったと答えた。
この時は彼女に苛立ちしか感じていかなった。
それから数日後の部活の公式戦、彼女も見に来てた。
その時、彼女は髪を切り、パーマをあて、高校生から大学生になろうとしていた。
確実に彼女は遠い存在になりつつあった。
寂しくて切なくてどうすればいいのか分からなかった。
行って欲しくないって言いたくても言えなかった。
彼女にとっての自分がただの後輩だってこと。
彼女は先に進むのに自分はそんなわがままは言えないから。
とにかく残りの時間をどう過ごすべきか。
とりあえず彼女が町を出る前日、4月1日に会う約束をした。
3月31日の夜、メールをしていた。
4月1日に日付が変わった時、彼女に「親の仕事の都合で島根に引っ越しするんだ」って嘘を付いた。
そしたら彼女はすごく動揺していた。
すかさず「今日は何の日?」ってメールしたら、彼女は怒って「もう寝る!」って返してきた。
そのやりとりが自分にはすごく幸せだった。
彼女の動揺が嬉しかった。
その日、会えるのが最後かも知れないと感じていた。
でも、彼女から風邪気味だとメールがきた。
自分は「それじゃあ会うのはやめよう」って言った。
明日は引っ越しだから。
彼女は「優しいね」って言った。
自分に何度ももう会わない方がいいんだって言い聞かした。
これで忘れられるはずだって、いい機会だって思いたかった。