4月2日、彼女が町を出る日。
どうしても諦めきれなくて最後の日に会おうと提案した。
何時に会える?って聞くと彼女が言った。
「引っ越し屋さんがまだ来ない」って。
そのまま気付いたら夜になっていた。
もう会えないねって。
今思えば引っ越し屋さんが来ないなんておかしな話だけど、その時は何も不思議に思わなかった。
引っ越し屋さんが来たと連絡がきてから、夜10時もうそろそろ発つとの連絡。
ずっと自分のなかで戦ってた。
諦めろという自分と会いに行けという自分。
もう出るという連絡のあと、自分は今から行くと連絡し、すぐに家を出た。
部屋に会った置物を持って、渡したいものがあるからと。
最後まで彼女に会う理由を作っていた。
普通に行けば彼女の家まで自転車で15分。
その時は8分で行った。
必死に漕いだ。
間に合わないかも知れない。
会いたいどうしても。
ただそれだけ。
彼女の家に着いたとき、かなり息が上がっていた。
彼女が家から出てきて、自分は置物を差し出した。
その時、顔をあげれなかった。
息が上がっていたからだけじゃないけど。
彼女はありがとうって言ったけど、自分はじゃあ帰るねって答えた。
何も言えなかった。
多分1分ぐらいしかその場にいなかった。
彼女のことを見ることすら出来ず、何も気のきいたことも言えなかった。
彼女と別れてからすぐ、自転車を漕ぎながら涙が止まらなかった。
前が見えなくて自転車を漕ぐのを止めた。
何の涙か分からないけど勝手に溢れて止まらなかった。
彼女が本当に大事だった。
