自動車で市内を移動する際、自分の決まった道を走行するのを常としていましたが、
その日は子供の入塾の申し込みの日で、いつもと異なる道を走行。

見晴らしの良い交差点に差し掛かり、警察官の姿が目に留まったので、
急ブレーキを踏むのもわざとらしく思い、段階的にトロトロトロと停止したところ、
2、3人の警官の中の一人が「はい、一旦停止違反、現認!」「こっちへ来て」
と脇道に連れて行かれ、例の免許証提示から始まって違反キップのルートに乗せられてしまいました。
停止線を50cm越えて停止したのが理由と言うことでした。
全く停止をしないで通過するならともかくとか、見晴らしが良いのに何でこんな所に停止線が必要なのかとか、
頭に来たのでグチャグチャ文句を言うものの、7000円の反則キップを頂いて帰る羽目になりました。
金銭的なこと以上に、自分の運の悪さとネズミ捕りの卑劣さに2、3日間は怒り心頭の毎日でした。
ところが、ところがです。
神は私を見捨てなかったのです。
一週間後の仕事に行く途中、路上で財布を拾ったのです。
中を確認すると一万円札が10枚以上と各種カードがビッシリ、飲み屋のシールが財布中に貼ってありました。
これを見た瞬間、いろいろなことが頭の中をよぎり、悪魔と天使が口論をし始めました。
憎き警察に届けるのは後にして、とりあえず仕事場へ出勤しました。
通常通り仕事をスタートするも何か落ち着かなくて、ソワソワしている自分が良く分かりました。
一人目の仕事が終了し、ロッカーに入れておいた財布をコッソリ確認すると現金は14万円入っていて、
カードの名前がいかめしく「ヤクザの親分のカード?」と思えるような名前でした。
「14万円位で何でこんなにソワソワするんだろう」と思いながら「やっぱりオレには悪いことはできない。
よし、昼休みに交番に行こう」と決心しました。
その後は気持ちが落ち着き、財布は昼休みに交番へ届けたのですが、16時頃にその落とし主から電話が入り、
お礼として2万円入りの封筒を頂くことになりました。
落とし主はテレビでも宣伝している某会社の社長さんのものでした。
これで合法的に一旦停止違反の相殺もでき、余剰金は家族皆で美味しいものを食べて使い切りました。
今回の14万円拾得の件で、もし100万円位拾ったら簡単に人格が変わってしまいそうな
自分を再発見してしまいました。