一時帰国していた私と一緒の10月26日9時40分PM、関空発ケアンズ行きに乗った。


早朝ケアンズに着き、税関に申告書に記していたカードを提出する。食べ物等と900ドル以上の品を持ち込む場合は申告が必要である。


幸男君は私のリクエストのごていしゅ味噌を4kg。私は高圧ポンプを持ってきていた。高価なポンプなので関税を覚悟していたが、何の検査もなく通過できて、ここまでは幸運の旅であった。


さて、国内線に移動してチェックインを済ませて、ホーン島行きのアナウンスを待っていると、20分遅れの知らせがあった。

その後再度のアナウンスでなんと、機体の不具合のためキャンセルと言うではないか。ホーン島行きの便は日に3便である。私はてっきり午後の便への変更だろうと思っていた。

再度カンタス空港のカウンターに行き変更の手続きをすると、なんと3日後の便に変更と言われて唖然とした。


こんな理由でケアンズに2泊もすることとなった。PULLMANHOTEL…以前のパークロイヤルである。カンタス空港は良いホテルを用意してくれた。





2泊3日のケアンズ。まず幸男君が携帯を使えるようにしたいとのこと。

ケアンズで起業し頑張っているナツミさんがたくさんのつまみとビールを持ってきてくれた。義理堅い幸男くんはこれはどのようにお礼を…とぶつぶつ言っていた。

 

2日間ケアンズで過ごし、29日の朝の便で我が家に向かった。金曜島でのボクちゃんの休日の始まりである。





幸男くんの幼い頃、私達はボクちゃんと呼んだ。5人兄姉の1番下で周りのみんなに可愛がられ、ボクちゃんは育ったのである。


そんなボクちゃんも65歳になった。45年間測量の仕事をやり終え退職した。1人での旅は心細いと尻込みしていたが、四子男に背中を強く押されて私と一緒に来て、帰りは四子男くんが迎えに来ると決まった。そんなことで40日間の金曜島生活が始まった。


まず涼しい日本から来たので体調崩さないように気を配る。ボクちゃんは早朝宿舎前の桟橋に釣りに出る。日本でも釣りをしているので、ここでもいい型の魚を釣ってくる。





9時にはティタイムを取る。

ボクちゃんはビールを飲む!


週に1度のTIへの買い物、ちょうどマンゴーの季節である。TIの街路樹のマンゴーを長い竹竿で取り持ち帰る。2、 3日おくと熟してくる。皮をむきタッパに入れて冷やすボクちゃんのおやつである。


ぼくちゃんが来て、10日ほどは和歌山県人会会長のロンダがいた。ボクちゃんの洗濯物の干し方を見て驚いた。「お家での事は奥さんがすべて行ってくれるのであろう…」と呆れた顔でこっそり言ってくる。


私たちが食事を作り、洗い物をしていても何の反応もない。座って携帯を見ていると食事が出て1日が終わると思っている様子である。魚を釣りビールを飲み、昼寝の生活が続いた。


ロンダが日本に行き、私の知人のミックとケイトがインフフェルより2週間来てくれた。ケイトは2年前まで木曜等の病院に勤めていて、休日は直々手伝いに来てくれた。金曜島好きの夫婦である。





こちらでは男性でも食後の片付けは行う。夕食後ミックが洗い物をしていて「今日はユキオズ ターン」と言った。


それからボクちゃんの改心が始まった。来客がある日は庭先の落ち葉を拾い、熊手をかけて迎える。夕食後の洗い物も丁寧に行ってくれる。客を出迎える朝に庭先が綺麗だと気持ちが良いものである。


ボクちゃんは名前の通り、一生涯を幸に暮らすと私には思える。子どもの頃からみんなに可愛がられていた。


2週間の滞在を得て、ケイトとミックが帰る日が来た。私たちと同じようにケイトもボクちゃんがお気に入りの様子で、次に自分たちが金曜島に来るときは、「ボクちゃんも金曜島に来るように」と言って強くハグして帰っていった。





そして数日後、我らが四子男が来た。


この頃になるとボクちゃんは立派な金曜島住民になっていた。1月前の自分の事は完全に忘れて「四子男は何にもしない」と、私に愚痴るようになっていた。


四子男は私にとっては、兄弟以上の存在である。1年に1度の私の帰国時にも、多忙なのに常に親身になって世話をしてくれる。逆に金曜島に来た時はできるだけゆっくり休ませたいと思っている。



2016年の熊本地震。私の頭によぎったのは四子男が築いてきた財への被害が無いことであった。


あの時は大変だった。

福岡に住む同級生からの差し入れ、生活に必要な品々をいっぱい入れて、各人一箱ずつ熊本に住む同級生に、悪路を持ってきてくれたそうである。


四子男は私と会うたびに胸を詰まらせながらこの話をする。私も涙をもらいそうになるのである。



ボクちゃんと四子男との生活は、私は母親の様である。洗濯物、食事、2人が釣ってきた魚を捌き、刺身を作る。逃した魚の話を聞き、アリ、蚊、アブに刺されたと愚痴を聞く。




2人とも天草の山の上で育ち、虫刺され等には慣れていると思いきや、全くひ弱になっている。

私のように自然の中で、蚊、アブ、蜂などはお友達の生き方をしていると何とも情けなく感じるのである。


そんなお二人さんだが、最後の数日はヤシの実、葉を片付け、大量の落ち葉を片付けてくれた。元々は天草の山育ちである。やりだしたら、立派な仕事をするのである。




ボクちゃん40日間、四子男7日間の金曜島の休日は短いような長いような思いで終わった。目標のバラマンディは釣り上げることができず、次の来島に持ち越しとなった。



高見