隣の木曜島までの4kmの距離を週に一度は買い物に出る。

 

片道10分で行けるので、私にとっては遠すぎず、近すぎずの最適の距離と思っている。



 

島を生きるには船の運転が必要不可欠である。

よって我が家のワーホリの方々にも船の運転をできるようになって頂く。

私が一緒だと誰が操ってもいいのだが、乗船していないときは免許が必要となる。

 


20年ほど前は簡単に免許が取得できた。


木曜島の様な人口4500人の小さな島に長いこと住んでいると皆知人となる。

 

ここ金曜島で練習して上達したら知人の試験官のところに行き

私が“太鼓判”を押すと“合格!!”で免許書がもらえた。



こんな古き良き時代があった。



 

さて時代は今やTAFE(専門学校)にて2日間の講習を受け、試験を受けるようになった。

 

専門用語を英語でテストされるのだから、私のところのワーホリさんにはちょっと荷が重い。

 

だが金曜島には神様がいらっしゃる。

 

現在の木曜島の試験官は学校の先生がやってくれる。

名前はTIM。実はこの試験管も私の知人である。


時のワーホリ、花奈、平井、成夏の3名が船の免許を取りたいと私をつついてくる。

「う〜ん。その内に…」と生返事をしていたら、花奈と平井が島を離れる日が近づいてきた。

「こら大変!!」とTIMに慌てて電話を入れた。

学校が夏休みに入ったら金曜島で出張テストを行ってやると言ってくれた。

 

さて、花奈、平井、成夏のこの3名…あまりテスト勉強をやらない。

テストは全て英語であり、『この連中大丈夫かな…』と心配していた。

 


いよいよテストの日が来た。

TIMが大きい荷物をもって現れた。

勉強不足の我が家の3名は緊張気味である。

 

試験官TIMがキッチンのテーブルの上でパソコンを開いた。

私と目が合い、TIM先生が得意げな顔でニカっと微笑んだ。


なんと英語を日本語に変更して出題しているではないか!

 

古き良き時代と思っていたが、新しき良き時代もあったのである。


TIM先生はまじめに説明をしている。

試験は淡々と進んで1時間程で終わり、実技は私が教えているので良し。と言うことになり全員合格となった。









我が家の3名には良き思い出となり、TIM先生にも面白い1日となった様だ。

2週間後真新しい免許証が送られてきたが、すでに平井君は島を離れていた。

 

 








高見