(先日の日記で卓治さんの名前を出したので、今日はこちらをご紹介しようと思います)
84年発表。小山卓治通算二作目のオリジナルアルバム。
日本のフォーク・ロックのひとつの最高峰の大名盤。首尾一貫、全ての曲が一つ残らず独立した傑作である上で、曲と曲とがお互いを綿密に補足補完し合い、アルバムたる必然を完全に全うしています。
アルバム全体でひとつの物語を語るようであるけれど、微妙にリンクしない部分がまた豊かな幅を与えている。小山卓治には尾崎豊のようなナルシスムに耽溺した愛だの真実だのへの希求はなく、代わりに日々まみれる生活に向き合う人々への沈着な洞察力がある。
それをして、ストーリテリング手法におけるソングライティングの才能は当代随一で、特に本作以降、89年作品『夢の島』までの小山卓治は、作家としては佐野元春も浜省さんも凌駕した存在だったのではないかと思える。
サウンド面では表題曲“ひまわり”のアレンジの素晴らしさが特筆に値する。現在友川カズキトリオやパスカルズで活躍されている、ロケットマツこと永畑雅人さんの手腕が聴きどころ。ワンコーラス目出だしのハーモニカやゴーダ部分のギターが、楽曲を貫く静かな悲しみを、陽炎のように淡く描いています。
