neo's scrapbook



とても暑い日だった。

男は近くの湖に飛び込みたくなった。


水着は持って来ていないが、

周囲に人はいない。

男は服を脱ぐと、水に入った。

冷たい水の中で泳ぐのはとても気持ちよい。

…老婦人が二人、

岸辺をこちらにやってきた。

男は慌てて水から上がると、

砂浜に落ちていたバケツをつかんだ。

バケツで体の前を隠すと、やれやれとため息をついた。

老婦人たちは近くまで来ると、男をジロジロと見た。

男はきまり悪く、その場から消えてしまいたかった。

老婦人のひとりが言った。

「ねえあなた、わたし、人の心を読むことができるのよ」

「まさか!?」困惑した男が答えた。

「本当にぼくの考えていることが分かるんですか?」


「ええ」と老婦人。




「あなた、持っていらっしゃるそのバケツに底があると思っているわ」





neo's blog