死に値する罪
小柄なハイラム夫人の元に、裁判所から陪審を務めるよう召喚状が届いた。
さっそくハイラム夫人は裁判所に赴き、
自分は死刑なんて残酷な刑罰は耐えられないし、
そういう個人的見解が公平な裁判の妨げになる恐れがあるから、
どうか陪審員の務めを免除して欲しいと切々と訴えたのである。
「しかし奥さん」係員は言った。
「これは小さな民事事件なんですよ。
プレゼントとして約束していた指輪を買うお金を、
賭博ですっかりすってしまった夫を、妻が訴えたものです」
「分かりました」ハイラム夫人は係員の目をまっすぐ見つめた。
「陪審員をやらせていただきます。
わたくし、今のお話を聞いて、死刑に関する考え方が
間違っていたことがよく分かりましたわ!」