《 灰となる 》
大金持ちのおじいさんが重い病気にかかり、
もう先が長くないことを知ってしまいました。
そこで、信頼できる医者、神父、弁護士の3人を枕元に呼びました。
「・・・金が私の人生のすべてだった。これまで築いた財産を残して死にたくない。
ここに、100万ドルずつ入ったカバンが3つある。
君たちを信頼してこれを預けよう。
私が死んだら、棺に一緒に入れてほしいのだ。頼む・・・」
3人は神妙な面持ちでうなずきながら、カバンを受け取りました。
そしてちょうど1週間後、おじいさんは帰らぬ人に。
葬式の日、医者、神父、弁護士の3人は棺の中にそれぞれカバンを入れました。
帰り道、医者は言いました。
「……実はうちの病院、最新の医療器具を買う費用が足りなくて。
悪いことと知りながら、カバンの中から20万ドル使ってしまい、
棺に入れたのは残りのお金だけなんです・・・」
それを聞いて神父は言いました。
「ああ、私も懺悔しなくては。
うちの教会は屋根が破れたままで、このままでは貧しい人々を救うこともできません。
悪いことと知りながら、カバンの中から50万ドル使ってしまい、
棺に入れたのは残りのお金だけなんです・・・」
それを聞いた弁護士は言いました。
「君たち、なんてことを!
呆れた人たちだな。恥を知りなさいっ!!
私は言われたとおり、棺にちゃんと全額100万ドルの小切手を書いて入れたよ!」