記者は、ようやく、世界的富豪のインタビューに成功した。
記者が大富豪の豪邸を訪ねると、富豪はかなりの老齢ではあるが、
美食のせいか肌の色艶も良く、とても本人がいう年齢には見えなかった
しかし眼光は鋭く独特のオーラを放っていた…
記者:「どうやって、これほどの成功を収められたんでしょうか?」
「わしは、スラムでも一番、貧しい家庭に生まれたんじゃ
12歳の時に両親を亡くし天涯孤独の身となり、
無一文で世間の荒波に放り出されたんじゃ……。」
富豪の老人は深い溜息をついた。
「…辛く苦しい時代じゃった…」
記者:「さぞ、ご苦労をされたのでしょうね…!?」
「毎日の食べ物にも困る大変な苦労じゃった…
しかし、わしは努力だけは忘れんかった…」
記者:「是非、小誌の読者にもその苦労と努力の物語というものを
お話いただけませんか!?」
「…うむ、いいじゃろう…」
老人は遠い昔を思い出すように静かに目を閉じた…
「あれは、大恐慌の時代じゃった。
父母が死んで、幼いわしはアパートを追い出されたんじゃ、、、
ポケットには、もう5セント硬貨が一つしか残っていなかったのじゃ…
…わしは、腹が減って、5セントで汚いリンゴをひとつ買って
リンゴに齧り付こうと、袖でリンゴの汚れを拭いたんじゃ・・・
実に綺麗で美味そうなリンゴになってのう。
わしは幼ながらその時、閃いたんじゃよ
そして、そのリンゴを食べないで10セントで売ったんじゃ。
そして、その10セントでまた汚いリンゴを2個買って──
また汚れを拭いて・・・
人間は努力を忘れてはならんのじゃ
もう、分かるじゃろう!?
わしは、その時、商売というものを理解したのじゃよ」
記者:「お腹をすかした子供がですか!? 感動的なお話しです!」
記者は深い感動を覚えたのだった。
記者:「やはり、努力と工夫が今の成功を生み出したのですねぇ」
「うむ。こうして、1週間後には、リンゴを売った金は、
なんと、23ドル50セントにもなったんじゃよ」
老人は静かに話を続けた…
そして、その次の日じゃった…
大叔父が死んでのぅ、5000万ドルの遺産を相続したんじゃ♪
記者:えっ?? い、いさんそうぞくぅ!?