会議の行方は | 米俵・改 ―FF14とFF11な日々―

会議の行方は

※ネタは新・いきなり次回予告 と言うサイトから拾って来た物です

※元は別の作品として作ったオリジナル物をFF11にアレンジした物です

※FF11の設定を使っていますが、一部オリジナルが入ってます

※登場人物はヴァナに居る同名さんとは無関係です

※…なので色々無理がある仕様ですが、黙殺して下さい

※実在する人をモデルにしたり、してなかったりしますが、

 誰だか分かっても気付かなかったフリをして下さい^^


シュナイトは常識を良く知らない。

「今日は常識について、会議を開く」
アイシィフェアルが突然言い出した。

「例えば日常の挨拶とか?」
「そう。冴えてるねリミ。朝起きたら"お早う"とか、
出掛ける時"行ってきます""行ってらしゃい"とか」
アイシィフェアルが例を出した。

「…人殺ししたら"ごめんなさい"とか…」
「ごめんで済むか~!!」
シュナイトの言葉に、リミュエラードは思わずツッコンだ。

次回「会議の行方は」

登場人物
(突っ込み役・その1)アイシィフェアル【エルヴァーン♀】
(突っ込み役・その2)リミュエラード【エルヴァーン♂】
(唯一のボケ役)シュナイト【エルヴァーン♂】

予告作成者:なこ



「常識とは!ある社会で、人々の間に広く承認され、当然持っているはずの知識や判断力の事を言う」
 アイシィフェアルことアイスが声高に言った。


 アイスは、騎士の家系に生まれるも女であった為、後に生まれた弟を立派なナイトにするよう、父に命じられたのである。

 が、本人は専ら冒険者として、世界中を飛び回っていて、あまりサンドリアにある実家へは戻らない。

今日はたまたまジュノからサンドへ向かう飛空艇で、冒険者仲間のナイト、リミュエラードことリミと再会したから、リミと共に実家へ戻ってみたのである。

 二人ともアーティファクトを着れるレベルのナイトである。

 父は早く弟シュナイトことシュナに白銀に輝く立派なナイトのアーティファクトが着れるレベルの騎士になってもらいたいらしい。


 ここはアイスの実家にあるシュナの私室である。

 シュナは近々騎士登用試験を受ける身。

一人での勉強も良いが、先輩ナイトから学べる事も多かろうと、珍しく家に戻った姉と友人の二人を部屋に呼んだのである。

 厳密には、玄関で鉢合わせ、「丁度良い、たまには勉強に付き合ってやろう」と二人に言われたのだが…


 今、彼女等は長方形のテーブルを三方から囲む様に座っている。

アイスとシュナイトは向かい合う形になっている。その間にリミが座っている。


 今から彼等はおよそ会議とは名ばかりの、シュナイトをいぢめてストレス発散♪ハッスルしましょパーティーをしようとしているのだ。

それにシュナは気付いていない。

名目の上では「どうにも常識が欠如している世間知らずな箱入り愚弟を、どこへお嫁に出してもやっていける様にみっちり教育させて頂きます」となっている。


 ここでテーブルに置いてある物をちょっと紹介しよう。

シュナの前にはお菓子がある。シュナの好物のウィッチヌガーが菓子皿に盛られている。

後の2人の前には…一応何も無い。が彼女等の膝の上に位置するテーブル下の物置スペースには、ハリセンが一丁ずつ、いつでも取り出せる様に置いてある。


「では、基本中の基本からいきましょ~…まずは、"挨拶"!」
 アイスが言い、チラリとリミに目配せをする。

それにリミは視線で応える。


地獄のハリセンゲームの始まりである。



「では、最初にも言いましたが、朝起きたら何て挨拶をしますか~?」
 アイスは向かい側に座り、早くもヌガーに手を伸ばしているシュナに問う。


 シュナはお目当てのナッツの入ったヌガーを掴んでから悠然と答える。
「"おはよう"」


「良し!」
 それを聞いてアイスとリミは頷く。

まぁ、最初に例えで言ったし、正解して当然か。


「では、お昼には何て挨拶をしますか~?」
 アイスの口の端が僅かに上がる。


 シュナは先ほど摘み上げたヌガーを口に放り込んで、適当な所まで噛んで小さくして飲み込む。

そして答える。
「…"おそよう"」


「違う!」
 バン!とテーブルを両手で叩き付けながらアイスは言う。

 リミは信じられんと言う顔をする。

 そんな2人はお構い無しとばかりに、また菓子皿に手を伸ばすシュナ。


「だって、朝よりも遅い時間です。アイス姉さん、いつも"遅よう"って言って来てたじゃないですか?」
と上目遣いにアイスを見つつ、しっかりと新しいヌガーを手に取る。包装紙を剥ぎ取り、中身を頬張る。


「………」
 リミは呆然とシュナを見詰めていた。


そんなリミを見て、アイスは意を決した様に言った。

「我が弟ながら彼の常識の無さは筋金入りです~。

 彼の口からどんな言葉が出て来ようとも驚かないで。
 愚弟の為に、愛の鞭をくれてやってください~!」
ガシッと右手でリミの左肩を掴みながらアイスは言った。小声で。


 こっそりアイスはリミの顔を覗き込んでみた。

そこには恍惚な笑顔が張り付いている。まるで、鼠を見付けた子猫の様な…


「それは、貴方が昼まで寝てたので、シャレて言ってただけです~!実際は、"こ・ん・に・ち・は"!」
 一応正解をシュナに言って聞かせる。

が、【へぇー】と言う適当な返事しか返って来なかった。

本人はもう目の前の飴と鞭用に用意した"飴"のヌガーに心を奪われている。

それを見たアイスの両手がワナワナと振るえ出した。


 そして…
「……ッカーーーーーーーッ!」


 バッシーーン!


 物凄い掛け声と共に、テーブルの下に隠されていたハリセンがシュナの手にクリーンヒットした。

シュナが持っていたヌガーが砕けてテーブルの上に散乱する。


「うああああ!!ボクのヌガー!!!」


「お黙りなさい!そして、姉の話を聞きなさい!

 せっかく貴方の為に、こうして暇な休日の昼下がりを割いているのに!」


 ここでリミもやや興奮気味に言う。
「そうだよ、シュナ。君の為を思って、リンバスをサボってわざわざここまで逃げて来てあげたんだよ?!」


 2人の勢いに押されて、シュナはタジタジ。

「そ、そう…なんだ?じゃあ、ボク…もう少し頑張る…よ」


 その言葉を聞いた瞬間、2人の瞳がギラリと鋭く光った。



「次はテーブルマナーです~!

 ナイフとフォーク、スプーンが左右に並べてあります!どれから使いますか?!」
 声高に、少し弾んだ様な口調でアイスがシュナに問う。


 シュナイトはしばらく考えた様だ。そして、
「えっと…フォークでお肉からですね!」


それを聞いたアイスとリミは2人して席を立ち、片手にハリセンを握る。
「ちっが~う!」「って言うか、答えがズレてるっての~!」


 バシィ!!ビッシィー!


 ハリセンの鋭い二連撃がシュナのおかっぱ頭を襲った。

が、さすがに大振りの攻撃だった為、シュナも余裕で防御する。


「あいててて…」
口の中でボソボソ呟きながら腕をさするシュナ。

片手剣スキルの高いナイト二人からファストブレードよろしく叩かれたので、紙製でもかなり痛い。


ソレを見て、フン!と鼻息荒く2人は何事も無かったかの様に着席する。


「馬鹿者。左右の外側から内側へと順に使っていくものです!常識ですッ!!」
アイスは右手の人差し指をビシィとシュナの鼻先に突き付けて言う。


「次~!パンを食べるタイミングは?!」
 語気荒くアイスが問う。


 また、少し考えてからシュナは答える。

「う~ん…食べたくなったら…?」


 その回答を聞いて、アイスとリミは深い溜め息と共に、両手の平を上に向け、肩をすくめてみせる。

そして、ゆっくりとテーブルの下に手を伸ばし、しっかりとハリセンを掴む。

「違うわ~~~!!」「って言うか、マナーはどこ消えたー?!」


 バコーン!ベシッ!


 アイスとリミのハリセン攻撃がまたもシュナにヒットした。

 今度のは先程よりも鋭さが増している。

一発目のアイスのハリセンがシュナの額にクリーンヒット。

その直後、防御の為に掲げた両腕にリミの鋭い一撃が見舞われる。


シン―僅かな静寂。


「―あうぅ~、痛いッ!!おでこが~!腕が~!」


「おっほん!パンは、通常、スープが出て来てから、デザートが来るまでの間に食べるものです~!」
アイスが咳払いをして、シュナの注意を引いてから薀蓄たれる。

しかし、シュナは痛がっていて聞いてない。


「姉の話を聞けぇ~!!!」


 スパーン!!


 TPの溜まった鋭いアイスのハリセンによる幹竹割りがシュナの脳天にヒットした。


「ぎゃふー!」

 何とも間抜けな悲鳴を上げて、シュナはテーブルにベチャッと無様に突っ伏した。



「次は魅惑のダンスパーティ編!ダンスを申し込む時のマナーについて~!」
 今度はアイス、両手をバッと広げて大仰なアクション付きで言う。

しかし口調はやたらと軽い。


 ここからは実演を踏まえながらやると、シュナとリミを立たせる。

テーブルの横に移動し、ハリセンはいつでも手に取れる様にテーブルの上に置く。


「まず、ダンスを踊るにはパートナーをゲットしなければなりません~!そして、相手は必ず女性である事!
 男同士のダンスなんてどこの世界でもご法度です!気色悪い!

 稀に女性同士はOKと言うパーティはありますが…」
とまたビシッと人差し指突き出し、その指先をシュナからリミへゆっくり移動させながら言う。


「よし、まずはリミ。貴方が女性をダンスに誘う時の手本をシュナに見せてやってください~」
とリミの肩をグイと押す。


「基本的に、男性から女性を誘うもんです~」
 そう言いながらリミをシュナの前まで誘導する。

つまり、男性役がリミ、女性役がシュナと言うワケだ。


 リミは軽く咳払いをして、踵を2、3度床にコツコツと当てて、緊張を解す仕草をした。


「私と踊って頂けませんか?」
 一言だった。

が、リミの礼儀作法は完璧だった。

さすが同じサンドリアの騎士の家系に生まれ育った者。


が、シュナはキョトンとしたまま「え~っと…」とモゴモゴ口を動かすだけだ。


 その間にアイスはシュナの脇に移動していた。

手には、ハリセンを持って。


「踊るのか、踊らんのか、ハッキリ言いなさいー!!」


 パコーン!


 シュナの後頭部をハリセンのチョップが襲った。


「そうだよ、シュナ。返事ぐらいしてくれないと、誘った方はどうしたら良いのか、困るじゃん」
 腰に手を当てて膨れっ面でリミが言う。


「では、シュナ。今度は貴方がリミに向かって同じ様にやってみなさい」
 高圧的にアイスがシュナに命じた。


 リミはそれを聞いて、姿勢を正した。

オズオズとリミの前に一歩踏み出したシュナ。

深呼吸をして一言!


「リミ、踊って!」
と右手を差し出しながら言った。


 直後、どうにも気まずい空気が当たり一面を満たして…


「そんな誘い方がありますかー!」「って言うか、名指しかよ!?」


 ベッ!ベシィー!!


 ほぼ同時に2人のハリセンがシュナの頭を叩いた。

シュナが短い悲鳴を上げる。


「良いか?!確実にお目当ての女性と踊るにはだなー…」

と言いながらシュナの前にズイッと出て来るリミ。

アイスはさり気無く後退する。


 シュナとはやや距離がある。

リミは少し顎をしゃくって僅かに上を向く。

サッとリミの瞳に照明の光が差し込んだ。

そのせいで、まるで涙で潤んだ様に瞳がキラキラと光って見える。
 ―スッと物凄く自然な動作でリミはシュナの前に手を差し出す。

そして、僅かだが十分に間を含んで後、ゆっくりと唇を開く。
「出来る事ならば、わたくしと踊って頂けませんでしょうか?」
甘く響くバリトンの声がリミの唇から紡ぎ出される。

大抵の女性なら、この時点でナイトAFを着た、茶髪の、巷でカパエルと言われる彼にメロメロだろう。


 僅かな間の後、シュナの口がゆっくりと動いた。


「…―ぃやだっ!」


 ダンスの申し込みを断る場合、間違っても「やだっ!」何て言ってはならない。

基本的に何か理由が無い限りは、快くその申し出を受けるものだ。

踊り疲れた時は、勿論断っても良い。

ただし、あくまでにこやかに、ソフトに…それがマナーと言うものだ。


 ピシッ!


「―ふっ」
 リミの口から短く吐息とも舌打ちとも付かぬ音が聞こえた。

が、後方に控えていたアイスにはその音は聞こえていない様だった。


 例え、申し込みを断られたからといって、決して「チッ!」とか舌打ちをしてはならない。

怒りなどの負の感情をおもてに出してもいけない。

ここは男らしく速やかに引き下がる。勿論、エレガントに。


 リミは何事も無かった、何も聞かなかったとばかりに踵を返し、振り向きざまにアイスに目配せをする。


「こぉの…大馬鹿者ぉ~!!!」「って言うか、んな断り方があるかー!」


 バコーン!バシーン!


アイスのハリセンがシュナの右頬を直撃し、リミのハリセンが袈裟にシュナの左肩を打つ。

それらをまともに食らってシュナは2、3歩よろめく。


「あうあう…断っただけなのにぃ…」
 半泣きでシュナが言う。

断り方に「やだ」以外の言葉がある事を知らないのか?



「はぁ…はぁ…」
 シュナの荒い息遣いが聞こえる。


「ふぅ…」
 アイスは額に浮かんだ汗を拭きもせず、椅子に深く腰掛け、上体を反らせて背もたれに体を預けている。


「はぁ~…」
 リミの深い溜め息も聞こえる。


 3人に沈黙が訪れた。


 テーブルの上にはヌガーが散乱し、床にはボロボロになったハリセンが転がっている。

精も根も尽きたとばかりに黙り込み、微動だにしない3人。

実際、しばかれまくったシュナはかなり消耗していた。


「…―なぁ、シュナって何でそんなに常識がないんだ?」
 リミが消え入る様な小さな声で誰にとも無く言った。


 母だ…アイスは、のん気な母の顔を真っ先に思い出していた。
「母がち~っとも教育をしなかったからです!」
 やや投げやり気味に答えるアイス。

まるで、「シュナがアホなのは姉の私のせいじゃない」とでも言いたげに。


会議の行方は -完-


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