今日はルイ君がズームでのピアノレッスンを我家で受けました。

 

ルイ君は小学生の時にカワイ音楽教室でドラムとピアノを習っていました。自閉症児とか発達障害児というと、周りの方は善意から「特別な才能があるんじゃないの?」と言って下さいますが、なかなかそんな才能のある子ばかりではありません。

 

ただ、もし何か得意なものがあるのなら見つけてやりたい、と思うのは親心です。なので娘(=私の長女)はいろいろなチャンスを与えてきました。

 

私も通っていた社交ダンススタジオのパーティで、小学校低学年の、ちょっと太った元気のいい男の子が先生と楽しくデモをしているのを見て、ルイ君をお願いしたことがありました。

 

先生には弟さんもいらっしゃるので、男の子とふざけるのも得意です。とっても親切にルイ君に付き合って下さったのですが、まだ6.7歳だったルイ君は気が散ってしまって、広いスタジオを駆け回っては先生に近寄ったり離れたり、娘のところに戻ったりで、2回で諦めました。

 

そう言えば、社交ダンスと並行してバレエを始めた私は、次女と2人だけのレッスンだったので、ルイ君もバーレッスンをしないかなと連れて行ったこともありました。でもやっぱり当時のルイ君は駆け回るだけで少しもジッとしていないので、即諦めました。

 

当時のルイ君は多動と言うよりも疲れ知らずで、散歩にも行きたがったし、途中で追いかけっこをするのも大好きでした。追いかけて、と合図しては、笑いながら素早く逃げていくのです。

 

最近は散歩を要求することは少なくなりました。追いかけっこは今でも好きですが、残念ながら大人の方が疲れてしまって、あまり付き合えません。(笑)

 

さて、ピアノとドラムは娘の涙ぐましい努力で結構長く続けました。当時はまだ私の家に同居していたのですが、ルイ君のご機嫌を取りながら、ほんの10分程ピアノの前にルイ君を座らせては、ピアノの練習を辛抱強く褒めながらさせていました。

 

始めの頃は、ドラムもピアノも割と上手くやっていたので、私達は喜んでいたのですが、徐々に失敗を恐れて先生の前では弾きたがらなくなってしまいました。

 

そこで、家で娘とレッスン中のルイ君の動画を私が撮り、娘はそれを持ってカワイに行き、ルイ君がピアノを弾かない時はその動画を先生に見て頂いていました。

 

暑い日も寒い日も、娘はルイ君の身支度をさせて、着替えやおやつを持って、バスに乗ってレッスンに出かけ、少しもピアノを弾かないルイ君にガッカリしながらも、帰りにはご褒美にカフェに寄って好きなものを食べさせて帰宅ということが続きました。

 

そのうち練習内容も同じところを繰り返すばかりで進歩もないし、とうとうもう止めた方がいいかも、と言う結論に達しました。

 

そして、ルイ君のことばかりの毎日の娘に、少しは自分のことをしたらと勧め、ルイ君の代わりに娘がピアノを習いに行くことにしたところで、コロナの蔓延が始まりました。

 

ということで、ルイ君のピアノはすっかり諦めていたのですが、どういう経緯かしりませんが、自閉症の子供に文字盤などを教えてくださっている先生に、最近になってズームでピアノをならうことになりました。

 

そこで、最近ルイくんは我家にピアノの練習にやってくるのですが、なんと、以前よりずっと上達しているのです。まだ、今日で3回目だということですが、「猫ふんじゃった」もスムーズに弾けるようになっています。

 

これまで、娘がルイ君の手首を下から支える形で弾いていたのに、今はその支え無しです。今、「喜びの歌」の始めの8小節だけ弾いていますが、暗譜しているようなスムーズな指運びなんです。

 

カワイの先生のおかげもあるのでしょうが、ルイ君の成長を感じます。日頃からルイ君をよく見ている娘は、ルイ君は不器用で思ったように体が動かせないのだ、と言っていますが、いつの間にか身体的な成長があり、指を動かすことができるようになったようです。本人も満更でない顔をしています。褒められるのが好きなんです。(笑)

 

気まぐれにも見える(本人にとっては気まぐれではないのでしょうが)ルイ君をここまで叱咤激励して、しかも再度のチャレンジをさせた娘にブラボーと言ってあげたいです。

 

因みにルイ君の得意分野もあります。それは語学や、本を読んで理解する力です。パパとはフランス語の文字盤で会話をしますが、ややこしいと言われる動詞の活用形のスペルが正しいそうです。

 

もしルイ君が日本語だけしか指せなかったらパパも勉強を教えられませんが、ルイ君がフランス語の質問にフランス語で答えるので、パパはとても喜んでいます。

 

そして、フランスでは幼稚園までしか通っていなかったルイ君が、何故フランス語を綴ることができるのか、誰にもわかりません。漢字もカタカナも掛け算も学校で教わる前に覚えているので、これはルイ君の特技だと言っていいと思います。

 

さて、最近はズームで、離れた友達(発語のない子供たち3人。文字盤で指した文字を読んでもらうという親の助けは要りますが)と文字盤で会話をするようになったルイ君、先日、そのうちの一人の友達に実際に会ってきたところです。

 

友だちと文字盤で会話をするなんて、夢のようなことです。ルイ君が文字盤を使うのは、娘と学校の先生、療育の先生位で、私とも面倒くさがってやってくれません。それも、促されてようやく指すのです。

 

そう言う感じなので、学校でもお友達が欲しいと言いながら、(クラスには発語のある子も無い子もいますが、文字盤を使っている子はいないので)仲良くなることはできないのです。

 

ルイ君自身が自分から文字盤を出してきて、自分のいいたいことを教えてくれたらいいのですが、そういう気持ちもなく、気に入らないことがあれば泣き声を出したり、態度で示すだけです。

 

ところが、先日会ったお友達はもう高校を卒業している年上のお兄さんですが、自分から文字盤を出して、言いたいことを指し示すそうです!それこそ私達がルイ君に願っていることです!

 

健常である中学2年生なら、親へ生意気なことも言うでしょうし、口答えもするでしょう。ところが、ルイ君はただ聞いているだけ、そして、ああしろ、こうしろと言われても、イヤだと言えなくて泣き声と走り回って抵抗することしかできないのです。

 

ルイ君は私たちが(ルイ君があたかもその場にいないかのように)おしゃべりしていると、怒り出します。「何で怒っているの?」ときくと「は、な、、し、が、、し、た、、い」と文字盤を指すこともあります。仲間に入れなくて悔しいのでしょうね。可哀想です。

 

ただ、それも訊かれて初めて答えるのであり、自分から積極的に文字盤を使うことは無いのです。なので、ただ騒いでいるうるさい子にしか見えないんです。

 

そういう所は、まだ幼いのでしょう。これから徐々に成長して、あのお兄さんのようになってくれたら、少しは心地よい生活ができるんじゃないかと思います。

 

嬉しいことに、あのお兄さんとはすっかり意気投合して、次に会う約束もしたそうです。

 

最近、娘もルイ君も明るくなってきたような気がします。勿論、お婿さんも喜んでいます。これからルイくんの新しい時期が始まる予感がします。

 

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