禁断の笑いとイジリー岡田 | あきたこまちを送料無料で産地直送

禁断の笑いとイジリー岡田

秋田犬のアメが来てもうすぐ一月がたとうとしている。ベビーベッドの底をとって檻としているのだが、来た頃はまだ2か月未満でベッドの枠の隙間から顔を出して体もすり抜けそうだったのが、やがて顔を抜くときはひねらないと抜けなくなり、今では顔を出そうとしないぐらい大きくなった。

春休み中の息子の髪も伸びて普段なら床屋に行くのだが「ママ髪切って」と言っていた。妻はマエケン並みに絵がへたくそなのが、うまく息子の髪型を整えることができるのだろうか?床に新聞紙を敷き、息子の首周りにも新聞紙が張り付けられていた。私は用事でしばらくいなかったのだが、帰ってきたら息子の目がはれていた。あまりの出来栄えのひどさに、息子は目をはらすほど泣き続けていたのだ。息子の髪型は、妻が末端を切り、もみあげは切りすぎていてバナナマンの日村か、眼鏡をかけないイジリー岡田に似ていた。たっぷり泣きはらした息子の前で、私は笑いをこらえるので必死で息子には背中を向けて笑いをこらえて肩だけが震えていた。私が笑いをこらえている姿を察知した妻は声を上げて笑い出した。それはシンクロして笑いのエネルギーは増幅してやまず、私は息をするのも苦しく無言で肩を震わせて笑い、妻は声を出して笑い続けるのであった。悲しみに沈む息子の前で一番やってはいけない行動だが、この笑いはどうにも止まらないのであった。しばらく、笑ってはいけないけど笑いがこらえきれない禁断の地獄の時間をやり過ごしたあと、冷静になった私は息子に「お父さんは前飼っていたサンタ(ポメラニアンとチワワのあいの子)の毛を切っていてうまいから手直しして切ってあげるよ」と言ったが断わられた。じゃあ、床屋に行って手直ししてもらおうと言っても恥ずかしくてどこにも行きたくないと言ってきかない。始業式まで少し髪が伸びて不自然さが薄まるのを期待しているようだ。私は息子の顔を見るたびに笑いたい衝動に耐え忍んでいる。