観音経 と通称されますが  もう、なんとも影響の大きい 妙法蓮華経=法華経 の一部分 なのですね。 テキストにも  諸経の王  また 日本仏教の根本の経典 ともあります。 週初めから 手にして色々繰っているわけですが、 観音の三十三変化などのお話も入っております。  またご縁あらば そうした部分も ブログ上にて勉強したいと思います。 この7~8年 かなり書物からは離れ 体を使った実践(巡拝)に重心が移っていたので バランスをとるためにも 仏神のおすすめが来とるのかもしれないですけん。 

 

 

① 仮使興害意 推落大火坑 念彼観音力 火坑変成池

② 或漂流巨海 龍魚諸鬼難 念彼観音力 波浪不能没

③ 或在須弥峰 為人所推堕 念彼観音力 如日虚空住

④ 或被悪人逐 堕落金剛山 念彼観音力 不能損一毛

⑤ 或値怨賊繞 各執刀加害 念彼観音力 咸即起慈心

⑥ 或遭王難苦 臨刑欲寿終 念彼観音力 刀尋段々壊

 

或囚禁枷鎖 手足被紐械 念彼観音力 釈然得解脱

呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還著於本人

或悪遇羅刹 毒龍諸鬼等 念彼観音力 時悉不敢害

若悪獣囲繞 利牙爪可怖 念彼観音力 疾走無辺方

蚖蛇及蝮蠍 気毒煙火燃 念彼観音力 尋声自回去

雲雷鼓制電 降雹樹大雨 念彼観音力 応時得消散

 

できて 普通なのでしょうが、 コピーできちゃいましたね。  ちょうど12行なので 6行ずつ 書き下しと 口語訳 読んで行きます。  この稿は 前6行分 ということで。

 

 

① 仮使、害う意を興して 大いなる火坑に推し落とさんも 彼の観音の力を念ぜば 火坑は変じて池と成らん

 

② 或いは巨海に漂流して 龍・魚・諸の鬼の難あらんに 彼の観音の力を念ぜば 波浪も没すること能わざらん

 

③ 或いは須弥の峯にありて (他)人に推し堕されんに 彼の観音の力を念ぜば 日の如くにして虚空に住まらん

 

④ 或いは悪人に逐われて 金剛山より堕落せんに 彼の観音の力を念ぜば 一毛をも損すること能わざらん

 

⑤ 或いは怨賊の繞みて 各 刀を執りて害を加えるに値わんに 彼の観音の力を念ぜば 咸く即に慈の心を起こさん

 

⑥ 或いは王難の苦しみに遭い 刑せらるに臨みて寿終わらんと欲んに 彼の観音の力を念ぜば 刀は尋に段々に壊れなん

 

〈難読部分 註)

① たとい  そこなう  こころ  おしおとす

 

③ おしおとす  とどまらん

 

④ おわれて 

 

⑤ かこみて  おのおの  とりて  あわんに  ことごとく  ただちに  いつくしみ

 

⑥ いのち  せんに  にわかに  おれなん  

 

 

現代語訳

 

1  たとえ他の者が 損なう心を起こして」大きな火の穴に突き落とすようなことをしても、観世音菩薩の力を念じたならば 火の穴は変じて池になるでしょう

 

2  あるいは 大きな海に漂流して龍、ワニのような怪物、もろもろの鬼から害を受けるような災難があっても 観世音菩薩の力を念じたならば 波も没することができないでしょう

 

3  あるいは 須弥山のような高い山の上に登って、他人に押し落とされるというようなことがあった場合でも 観世音菩薩の力を念じたならば 太陽のように虚空に留まることができるでしょう

 

4  あるいは賊に追われて金剛よりなる高い山から落ちるようなことがあっても 観世音菩薩の力を念じたならば 一毛をも損することがないでしょう

 

5  あるいは賊に囲まれて剣で害を加えられるようなことがあっても 観世音菩薩の力を念じたならば 賊たちが慈しみの心を起こしてくれるでしょう

 

6  あるいは国王に苦しめられて 処刑をされるというようなときでも 観世音菩薩の力を念じたならば剣は粉々に折れてしまうでしょう

 

 

 

 文章はこれくらいにしましょう。 この部分だけでは 荒唐無稽に過ぎると感じられる向きもありましょうけれども まとめて読めば 優れた例えであることが分かりえます。

 

 

 文だけでは さみしいですので 四国霊場の観音さんを 二枚までくらい、 毎回上げようと思います。  出典は 四国霊場仏像を訪ねて 桜井恵武著 宮帯出版社 刊 です。

お借りいたします。

 

 

image  高知に長いこと足を踏み入れてない気がして 高知からいきましょか。 これは下巻表紙。  足摺の 三十八番金剛福寺 御本尊 三面千手観音さん。 手が写っておらず、 十一面さんのよう。 頭上の面の表情が豊かです。