「乳母車」 | レタスの種

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日々の想いごと、子どもたちのこと。

http://ameblo.jp/kakasojyo/に引っ越し、主に短歌のブログとなっています。

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それは赤紫色の

古いかたちの乳母車でした


たぶん寝かされているのはふたつ年下の妹

若き日の母がゆっくりと押しながら歩く

幼い私はその横、もしくは後ろを

てくてくとついて歩く



おそらく生まれて初めての記憶

まだ私が私であることさえ知らなかった頃の

透明な水底のような

音も感情もない

記憶です




ただその赤紫色の乳母車を思うとき

「幸福」という二文字がちらちらと脳裏をよぎり


それはこんな風に

不確かな夢のような

音のない

透明な水底のような

遠い世界の果てのどこかでゆっくりと押されている

一台の乳母車のようなものかもしれないと

思ったりするのです



私たちが求めて手に入れるといった

そんなものではないような

気がするのです



もっと単純で

もっと当たり前の

でも もっと遠い


そこには誰かの感情の入る余地などないのでは、とも