職業に貴賎なし、という言葉があります。
よく、これで平民同士で議論になりますよね。
Aさん、「私、デリヘル嬢になろうと思うの。職業に貴賎なしっていうじゃん。」
Bさん、「いやいや、職業に貴賎はあるよ。何、きれいごとを言っているんだよ。あんな言葉、世間知らずが言った言葉に決まっているじゃん」
AとBは、双方とも「職業に貴賎なし」を「職業には貴いも賤しいもない」と理解しています。
で、Aは賛同、Bは反対という立場なんですね。
が、AとBともに「職業に貴賎なし」の意味を間違って理解しています。かわいそうに。
まあ、文言がかなり略されているので、そう理解しても仕方ないです。
そして、日本人のほとんど全員がこのAかBではないでしょうか。
正しい意味は、
「職業によって、人格に貴賎はない」です。
もっと言うと、
「職業には貴賤はあるが、それをする人間には貴賤はなく平等である」という意味です。
わかりやすく言うと、風俗嬢でも選挙では一票の投票権を持っている、ということです。
この言葉は、江戸時代の学者、石田梅岩が言ったものですが、
当時、職業は世襲制だったのですね。
なので、職業は本人の意思でどうこうできるものではなかったのです。
石田は「自分の意志ではどうにもならない職業によって、その人の貴賤が決まったのではたまったものではない。人は皆、同じ価値を持つ人間なんだ。」ということを主張したのです。
これが、「職業に貴賎なし」になったのです。
どうです、いかに現代人が都合よく解釈しているか理解できましたか。