狂気、暴走
「ゲキカラ…壊してやるっ!」
さっきまでと様子が変わったミソ。
ゲキカラは笑いながら近づいていく。
「…ふふふっ…あはははっ…」
「あひゃひゃひゃっ!壊れろぉっ!」
千本をゲキカラに投げつける。
次々とゲキカラに千本が刺さっていく。
肉を裂いていく。
ゲキカラは自分の身体から溢れ出る血を手につけ、眺めた。
「……ふふふふっ…」
楽しげに眺めると、ミソの方を笑顔で睨み付けた。
ミソはありったけの千本をゲキカラに投げつける。
しかし、いくら千本が刺さってもゲキカラの歩みは止まらなかった。
「もしかして、怒ってる?」
ついに目の前にまで迫ってきたゲキカラがミソの頬に血をなすりつける。
「あひゃひゃっ…ゲキカラァッ!」
包丁を振りかぶる。
しかし、ゲキカラの拳が振り抜かれる方が遥かに速かった。
ミソは吹っ飛び、倒れた。
そこに馬乗りになりミソの動きを封じる。
「それ、どうしようとしたの?」
ミソの手から包丁を奪い、笑顔で尋ねる。
ゲキカラは包丁の刃をミソの首筋にあてた。
血が流れ落ちる。
ゲキカラは少しずつ包丁を首の方へ動かし始めた。
「アハハハハハハッ!痛い?痛いよね?アハハハハハハッ」
完全に狂っていた。
松井玲奈という存在は意識の奥底に沈み、ゲキカラが暴れていた。
「くっ…あひゃひゃひゃっ!痛いに決まってるだろっ!」
苦痛に顔を歪めながらも笑い続けるミソ。
ミソも狂っていた。
死に直面していると理解できていなかった。
「ゲキカラっ!!もうやめろ…!」
ゲキカラの手首を誰かが掴んだ。
ゲキカラはハッとして掴んだ手の主を見る。
「優子…さん…?」
ここにいるはずがない。
優子さんは一度任せると言ったら絶対に手を貸さない。
そこまで考えてもう一度手の主を見る。
…学ランだった。
「ゲキカラ…お前、そこまでやっちまったらマジじゃねえよ」
学ランの言葉が優子さんの言葉のように思えてき狂気が収まりつつあった。
…しかし、それはゲキカラだけだった。
ミソは隙のできたゲキカラから包丁を奪いとり、振りかぶった。
その時、駆けてくる足音が聞こえた。
それを認識するかしないかの内にミソは、刺した。
「…四天王がここまでやられるのは計画通りッス…」
黒羽高校。
エンカがピアノを背負って帰ってきた所だった。
「あとは…前田と優子の対策をすれば完璧ッス」
「ふっ…そこは任せろ。私も独自に動いている。だが…あの人さえ帰ってきてくれれば…」
晴香は自信ありげに答えたが、あの人と言ったところで遠くを見つめるような目をした。
「まあ、その人が来なくても…私がいるので」
晴香の椅子の影から生徒が出てきた。
白衣を着ている。どこかの研究者のような出で立ちだ。
「…心強いッス」
頭が良い人が嫌いなネズミは露骨に嫌そうな顔で答えた。