先生のもとには「心霊写真を撮ってしまったのでお祓いをして欲しい」という相談が寄せられる事があります。
中でも一際異彩を放つ心霊写真がありました。
数年前メールで送られてきたその画像は、生徒さんが旅行先で誰もいない室内を写したのに変な物が写っていたので気持ち悪い、お祓いをして欲しいという事で先生の下に来ました。
見ると、確かに画像の片隅に黒いモヤのような塊があります。
「おそらくこれだろう。」
と思い、先生に画像を見てもらいながらご説明する事にしました。
先生はまず画像をしっかりと見る前に
「ちょっと待って。」
と、写り込んだ霊を身動き取れなくするために、ある事をしました。
それから画像を一緒に見ながら先生にお伝えしました。
「画面左下の黒いモヤが生徒さんの言う『変な物』だと思うんですが。」
「どれ?」
「これです。この丸い黒い塊かと。」
「どれ?」
「いや、これです。この下の方。」
「どこに黒い塊があるの?」
「この左下です。
(あれ?これ、こんなに大きかったっけ?」」
「どこ?」
「ここです。
(あれ?
塊は一つだったはずなのに、こんな雪だるまみたいなくびれあったっけ??)」
「だからどこ?
そこには人が写っているだけじゃないか。」
「え?人?」
手元を見ると、そこにはそれまで写っていなかったはずの、黒いシャツを来た男の子が横を向いて写っていたのです。
静止画であるべきスマホの中の画像が動くという、ありえない出来事に驚いて思わず大きな声を出して叫びました。
この男の子は先生が霊の動きを封じ込めたために、自分には黒いモヤとしか見えなかった物が徐々に正体を現して少年の姿となったのだそうです。
逆に先生には最初から男の子として見えていたために、「黒いモヤ」が別にあると思い「どこに?」と質問されていたということでした。
映画『リング』で、ビデオテープを再生する度に井戸から女性が出てくるように、視線を落として確認する度に画像の中で黒いモヤが少年の姿になっていくという、見た事も聞いた事も無い心霊写真を目の当たりにした衝撃は今でも忘れられません。