2012年8月26日に第38回気象予報士試験が行われましたが
問題と回答例が気象業務支援センターのホームページに掲載さていたので
実技試験を見てみました。

一通り見た感想としては
過去の問題で出た内容が多かったように思います。
難易度としては、全体的に安易な中に、難問が、いくつかあるよう感じました。


実技1について、私の稚拙な知識で感想を・・・

問1
 特に変った設問はなく、悩む箇所はなさそうに思う。

問2
(1)300hPaの状態ということで、中上層の水蒸気状態を表す水蒸気画像を
 問われている推測できる。
 水蒸気画像の特徴表現は、暗域と明域。

問3
(1)注意すべき強い雨を20mm以上とみなして(根拠はないですが)、
 20mm以上の領域を見ると、上越から九州までの日本海側と内陸部あたり。
 東日本日本海側、西日本日本海側、西日本太平洋側の3つから2つを選ぶことに、
 東日本日本海側と西日本太平洋側のどちらを選ぶかは
 悩んでしまう。
 回答例は3つから2つ回答
 悩む時間がもったいないような。

(2)
 ①よく出る前線作図であるが、
 相当温位線の集中帯の南縁、描き易いと思う。

 ②緯度線の曲がりを気をつけながら読むと
  風向きは、北側は西~西北西、南側は西南西~西
  風力は、北側は、ほとんどが15、20ノットで、10、30ノットも一部ある。
      南側は、ほとんどが30ノットで、20、25、40ノットも一部ある。
  題意は違いを問うているので、数値は不要で「南側が北側より強い」でよいと思う。
  回答例を見ると、北側は西~北西・・・誤差範疇か?
  
(3)
 ①相当温位線を見慣れていると難しくはない。
  太線が15K毎で、細線が3K毎から読み取れる。

 ②気温の差分が小さいのに、相当温位の差分が大きいことを、問うている。
  表現方法はいろいろありそう。

(4)前問(2)(3)の回答から続くストーリー。
  雨は上昇流により発生する、その要因のひとつに風のシアー
  大雨になる要因は、湿暖(高相当温位)な空気の流入
  これを前線と絡めて回答するとよいように思う。

問4
(1)
 ①図10において、850hPa面で、相当温位線の集中帯の南縁は33.4度あたり
 ②図9を見れば、33.4度より南側なので前線の南側

(2)
 ①そのまま読めば、高度が上がるにつれて相当温位が小さい。
 このような相当温位分布の成層状態を「対流不安定」というのは
 決まり文句と思う。

 ②850hPaで湿数3、500hPaで湿数12~15と読める。

 ③強い降水域の32.9度付近で、一番強い上昇流は-60と読める

 ④本来ならば計算しないといけないような気がするが
  密度1.0kg/m3,重力加速度を9.8m/s2なら
  下層の標準的は高度気圧分布1000mで100hPa
  (高度1500mで気圧850hPa<0mが1000hPaとして>となると、私は覚えてます)
  を使って問題ないと思う。
  これが、小数点以下1桁までとなると、ちゃんと計算しないといけないと思う。

 ⑤60hPa/hをm/sに単位変換するだけ
  ④より、(高度mに)60×10m/h→(1時間を1秒に)60×10/3600 m/s
       →0.166m/s
 
(3)
 ①気温が高度と共に大きくなるので、「絶対安定」
  正確には、湿潤断熱線より気温現率が小さいから「絶対安定」

 ②温位は該当気温と乾燥断熱線の温位から読み取る
  目測で、Dは313Kぐらい。Eは317Kぐらい(正確には、定規で測る)
  混合比は該当露点温度と等混合比線から読み取る
  目測で、Dは8.8、Eは4.4ぐらい。
  計算すると、Dは、337.6K、Eは329.3K
  解答例を見ると、1Kぐらい違う、誤差範疇か?
  相当温位が高度と共に小さくなる場合を、対流不安定という。
  前問(2)①と、同じことを問われている。
  (3)①で、気温の判定による安定度と相当温位による安定度が異なった
  表現になることを試しているのかもしれない。

 ③状態曲線の作図の基本問題。
  補助線まで残すと指示するのは、回答が正確であるのかの判定に
  用いるのであれば、良いと思う。
  これまで、SSIを求める問題が出題されたときは、
  作図結果による数値のみ求められたので、
  山勘による正解が出来ていた。
 ④と⑤この一連の問題の結論
  この主旨が理解できていれば、この一連の問題は難しいはないように思う。

(4)
 ①60mm以上を観測しているのは、20時と20時30分
  1時間の観測値(解析値)なので、降っている時間は、19時00分から20時30分
  間違って観測時間を回答しそうな(ケアレスミスしそうな)問題と思う。
  時間細分を示す予報用語を覚えていくのは必須
  この予報用語は最近、あんまり出題されていないが、よく出題されていると思う。
  実技2でも、出題されていた。
 ②850hPaが高度1.5kmと解っていれば、風向・風速を読み取って
  「○~○」の表現で答えれば良い。

問5
 レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)は
 近年、防災上重要なので、今後よく出題されそうな気がします。
 学習記憶する項目は、受験範囲から考えると少ないので、覚えておきたい。


イメージ 1

写真は、六甲山山頂から観た淡路島方面