「ヒアアフター」 | NN

NN

**

HereAfter = 来世


ここのところ外しのないイーストウッド
死を意識した作品は今までに多々あったが、
今回は「死後の世界」という観点からのアプローチ


霊能力を持つが故に苦悩した生活を送る男性
臨死体験を境に全く現世界との接し方が変わってしまった女性
いつも頼りにしていた双子の兄の予期せぬ死により、心にすっぽりと穴を空いてしまった少年

そんな三人の人生がやがて交錯されるまでを描く

ある意味村上春樹的手法


誰もが認めるところだが、始めの津波シーンは
スピルバーグと組んでいるということもあり、迫力満点
水の恐怖、自然災害の恐ろしさを巧みに映し出す
ほんの始めから数十分も経たないシーンでこの映画の費用の殆ど(あくまでも個人的予測)
をつぎ込んでしまう所は流石である

その後は淡々と物語が進んでいくが、
ここはさすがストーリーテラーのイーストウッドの見せ場
なんてことのない一場面にもグッと引き込まれてしまうのは確か

ただやはり三つの物語を一つの尺でやっている分
どうしてもそれぞれの話に物足り無さが…
料理教室で出会った女性とのくだりとかもう少し観ていたかったし、
マーカス少年を軸に描いても良いぐらいだとも思ったし

死後の世界がテーマだが
下手に死者の幻影に語らせたりするような興醒めな演出はなく、
あくまでも現実世界側から映し出されているのは好感を受ける
宗教色もあまり感じられないし
オカルト的要素に先入観ある人でも気兼ねないのでは


宗教とか、何を信じているとか
そういうことを抜きにして、
身近な人を失ったことのある人であれば
誰もが必ずしも一度は思ったことがあるであろう
「死者と対話がしたい」

霊能力者や臨死体験云々というのはあくまでも
そういった種類の思いを映画として具現化する為の媒体に過ぎず
監督もそこまでに熱心に信じ込んだり、没頭しているものではないはず

そういった点では凄くチャレンジングな作品だし
監督の手腕が物を言う

ただボクの個人的な感想としては

最後あのような終わり方になり、結局監督が何を一番伝えたかったのかが
よく分からなくなってしまった

いつもイーストウッド映画を観終わった後に感じる
ど~んと心に深くのしかかってくるモノは無かったかな。

でもこれはあくまでもボクがその時に観て感じたこと。

見方を変えたり、その時の自分の身の回りの状況や心境によって
大分感じ取り方が変わってくる映画であることは間違いないと思う。




「ヒアアフター」
オススメ度73点



-Y-