おくどさん奮闘記
はじめチョロチョロ中ぱっぱ ジュウジュウ吹いたら火を引いて
ひと握りの藁もやし 赤子泣いても蓋とるな
昔々、どこで聞いたか、誰から聞いたか、わからないが、何となく覚えている歌のような言葉がある。
それがおくどさんの事だって知ったのも、いつなのかわからない不思議な記憶だ。
自分がこの歳になって、初めておくどさんと向き合っているが、これが本当に初めてなのか?と前世を疑う。
ただ、一つ言えることは、私はこの火が好きだ。
おくどさんには不思議なパワーが宿っている。
リボーン洞戸の真新しいおくどさんを見ると、皆さん昔の事を思い出す。
それはそれは、大切にしまっておいた大事な記憶で、普段の生活では忘れてしまっていて、まるで押入れの奥から古いアルバムが出て来た時のように、自分と家族とおくどさん、を同時に話し始めるのだ。
決して、同じ家の同じ形のものではないのに、
おくどさんという存在そのものがそれぞれの記憶の片隅にあって、
その箱を開けると、昔遊んでいたおもちゃが飛び出して来たように、無邪気な顔になる。
今は、へたっぴで、うまく火もつけられないが、
もっとおくどさんと仲良くなれるように、火を炊き続けたい。
美味しいお焦げができるように。