本道佳子さんの「ホワイトドラゴンマジックランチ」
最近、私のブログによく出てくる「船戸クリニック」というのは、岐阜県養老郡養老町にある統合医療病院である。
一言に統合医療といえども、どうもこれまで私が知っている病院とは似ても似つかぬ様子だ。院長先生は「その人がその場所でその人らしく生きて、その人らしく死んで逝けるお手伝いを目指します。」と言っている。
普段から病院嫌い、薬嫌いの私が先生に診断されるわけでもなく通う理由といえば、単におもしろいからである。
はて、病院がおもしろいとはどういうことか?
私がこの病院の存在を知ってからというものの、あれよあれよと人に出会う。
それも皆、人間として素晴らしい人たちばかりで、感動する。
この「本道佳子」さんもその一人である。
月に1度のスペシャルデーと題打った本日は、まさにスペシャルである。
以前私が人生で初めて料理教室に行き、本道さんの料理を食べて感動した日からどのくらい経っただろうか。あの味を私は忘れていなかった。
一体、何がどうなってあの味になるのか?
カルチャーショックにも似た衝撃を受けた。
本道さんが作る料理は基本的に「ビーガン」というもので、動物系、卵、乳製品、魚など使用しない料理である。
近年、日本でもオーガニック、無農薬、などというお店が増えてきて、注目を集めているが、私ははっきり言うとほとんど関心がなかったのだ。
料理ジャンルがどうこうではなく、美味しい料理を求めていただけで、それが肉だろうが農薬だろうがジャンクフードだろうが分けて考えていなかった。
それよりも、真剣に取組んでいる人の料理が好きだったのだ。
私は私自身が選んだ料理を食べることに喜びを感じる。
本道さんの料理はいたってシンプルである。
それは簡単ということではなくて、簡単ではないということなのだ。
調味料は塩を中心としたごくわずかな味付けが施される。
野菜の切り方も飾らない。
余計なものも加えない。
それは、この野菜たちが生まれ生きてきて、こうであったという証を表しているのである。
「見て、私美しい緑でしょ。」
「ほっほっほ。私をほくほく召し上がれ。」
「どうぞ、私を食べナスってください。」
「ごの、ぼうくは、ごの土に生まれてきてよかったんだ。」
「輝いているだろう。大根役者とは言わせないよ。」
こんな野菜たちの声が聞こえてくるような食事になる。
まるで大地を食べているような、土を食べているような。
空を風を太陽を水をそのものを食べているような感覚になる。
私は、出会った食材の中で感動するくらい美しく美味しいものに出会ったことがある。
石狩の「はるきちファーム」の野菜たちや、蘭越の「宮武さんのお米」などを目の前にすると、料理人としての役目がなくなってしまうように感じていた。
そのままで美味しいから、そのまま食べてください。って思っていたのだ。
憶測ではあるが、多分、本道さんもその気持ちで料理していると思うが、本道さんの場合、それをさらに輝かせる何かを持っている。
野菜たちが脚光をあびるようなステージを用意しているのかもしれない。
野菜たちが野菜たちであり続けるような...。あれ?
は!そうか!
そこでリンクしていたのか。
ブログを書いていて今、気がついた。
最初に書いた、船戸クリニックの院長先生の言葉と、本道さんの作る料理は似ているのかもしれない。
そうか、そうだったのか。とブログを書いていながら気がついているくらいだから、まだまだ本道さんの作る料理には気付かされることがありそうだ。
それは私が料理を作る上だけではなくて、人として大切なことであり、もちろんそれが料理につながっていくのだろうと思う。
本道さん
大変美味しいランチでした。
ごちそうさまでした。