イタリア料理「CALCIO(カルチョ)」@大垣市
このお店はブログに書かなければならない。
きっと私はカルチョの料理について書くだろう。
そう思ったのはランチのコースに出てきた最初のスープを一口飲んだ時だった。
トマトスープにはたくさんの野菜が入っていた。
人参、セロリ、パセリ、豆、さつまいも、荒く潰したトマト、ベーコンなどだ。
優しい香りをまといながら、野菜たちのしっかりした味が残っている。
決して煮込み過ぎず、すべての野菜が主張するギリギリの頃合いをスープで表現するのは簡単ではない。
それはこのスープに入っている緑の野菜を見れば一目瞭然と言える。
スープを煮込んでいる間、緑が緑で居られるのはほんのわずかな時間である。
美味しいなぁ。と口にしながら私は、スープの塩加減が絶妙であると感じていた。
しかしそれは私の、浅はかな味覚であると同時に、自らの料理がどれほど調味料に頼っているのかを痛感させられるものであった。
「このスープには塩、胡椒、などの調味料は一切使っていないんですよ。」
なんと!?驚いた。
それでこの味が出るのか?
私はその説明に驚きを隠せず、つい「ウソ!?」と言ってしまったのだ。
これは究極の野菜スープだ。
そのあとも何度もスープを口にしながら、私は何度も驚いた。
お皿のスープが無くなる頃には、お皿ごと舐めたい衝動にかられるほどだった。
「お待たせしました。ポルチーニ茸のリゾットです。」
待ってました。
待っていたんです。
探していたんです。
このリゾットを。
3年半前フィレンツェで食べた以来、出会うことができなかったポルチーニ茸のリゾットにここで出会えた。
お皿からはポルチーニ茸の香りが私の鼻を刺激する。
「すき焼きよ。すき焼きのタレを使っているのよ。あのポルチーニはすき焼きなのよ。」
そう説明してくれた博子先生の言葉を思い出しながら、私は目の前にあるリゾットを一口含んだ。
おぉ!これだ!この味だ!
まさにあの時食べたリゾットの味が蘇る。
そして深い。
このリゾットはポルチーニ茸と玉ねぎとお米が三位一体となって私を包み出す。
オリーブオイルの香りが音楽でいう高音ならば、ポルチーニのコクが低音になり、その間に広がる様々な音域がしばらく余韻となって続く。
食べながら舌舐めずりをしてしまうほどの味わいだ。
美味い!
うなる声を止めることができない。
一口食べるごとに、う~ん。う~ん。と言いながら食べていることに気がつくのには時間がかかった。
妻の前に出ているあの料理も気になる。
緑色した平たいパスタの上にはトマトソースがかかっていて、ナイフで切ると中からホワイトソースらしきものが顔を出す。
パスタもすべて自家製で作っていると聞いたが、こんな絶妙な茹で加減があるのかと思うくらい、完璧な仕上がりだった。
「今日のパンはオリーブのフォカッチャとレーズンのパンです。」
私たちは好きなもの、美味しいものに出会うと食べることに夢中になる性質を持っている。どんな料理であっても互いに味覚が合うため同じようなタイミングで夢中になるのだ。
いろいろと述べてしまったが、カルチョは美味しい。とにかく美味しい。
さらにお店の雰囲気はまるでイタリアのトラットリアに迷い込んだような錯覚を感じる。
妻は何度もイタリアに来ているみたい。と言っていた。
それは観光名所にある日本人向けのリストランテではなく、地元の人たちが集う食堂だ。
お店のマダムも、他にいるお客さんもみんな日本人なのに、不思議とイタリアの風を感じる。
決して肩に力が入るようなお店でもなく、どこか落ち着くのは何故なんだろう。
私たちは美味しいお店に出会うと、次に来る機会を話し合う癖を持っている。
いつ来る?何のタイミングで来ようか?
クリスマスにはディナーで来てみようか?
こういったことを真剣に考える。
最高の幸せを与えてくれた「CALCIO(カルチョ)」に感謝したい。
すべてのメニューを食べてみたいです。
そして紹介してくれた博子先生、ありがとうございました。
あなたの紹介してくれるお店は本当に素晴らしいお店ばかりです。
今度は是非、ご一緒にお食事しましょうね。
いや~、しかし、山川草木料理「須多”」に続く「CALCIO(カルチョ)」の登場。
岐阜のお店は魅力があるなぁ。としみじみ感じました。